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ローソク足パターン — Three Soldiers と Three Crows(第5回)
3本連続パターンでは、3本のローソク足の大きさ・間隔・位置の変化からトレンドの健全性を見ます。同じ色かどうかは本質ではありません。
> 3本のローソク足が同じ色で並ぶことは出発点にすぎません。本当に重要なのは、その3本がどのように伸びているかです。
この記事はローソク足パターンシリーズの第5回です。第1回ではハンマーとドージ、第2回では包み足における直前足の回収、第3回ではインサイドバーとドージの圧縮、第4回ではモーニングスターとイブニングスターの3本反転を扱いました。今回の第5回からは、同じ3本構成でありながらトレンド継続の情報を含むパターン — Three White Soldiers、Three Black Crows、Three Inside Up/Down、Three Outside Up/Down — に進みます。シリーズはこの後も続きます。第6回は Harami と Tweezer の補助パターン、第7回は Marubozu と実体比率、第8回は平均足、第9回は Three-Line Strike と Kicker、第10回は足の内部フローと Opening Drive を扱います。
Three White Soldiers と Three Black Crows は、Steve Nison が1991年の *Japanese Candlestick Charting Techniques* で西洋のトレーダーに初めて紹介した日本式ローソク足用語のうち、トレンド継続グループに属するパターンです。定義自体は短く整理できます。同じ方向のローソク足が3本連続で現れ、それぞれの足が直前足の実体内で始まり、高値(または安値)を更新して引ける構造です。原典ではトレンドの開始または加速を示すシグナルとされていますが、1991年の日本株の日足チャートと、2026年の24時間取引される市場では、ローソク足の作られ方がまったく異なります。
一般的な解釈はこの違いを無視したまま、「陽線が3本なら強い上昇、陰線が3本なら強い下落」として定着しました。そのため、同じ Three White Soldiers を見て買っても、ある場面ではさらに上昇が続き、別の場面ではその3本目がちょうど天井になるという経験が繰り返されます。
一歩引いて見ると、こう整理できます。Three Soldiers・Three Crows の本当の情報は、3本の大きさと間隔がどう変化しているかにあります。3本の陽線が同じくらいの大きさなら、通常のトレンド開始です。しかし3本目が前の2本より小さくなるなら、トレンドはすでに失速し始めているというサイン — *exhaustion soldier* です。さらに、3本がどこで作られたかによって、同じ形でも意味は正反対になります。安値圏のレンジを上抜ける場面で出た Three Soldiers は本物のトレンド開始ですが、高値圏で出た同じ形は、Wyckoff の買いクライマックス(Buying Climax)でよく見られる典型的な姿です。

3本の大きさの変化で、トレンド失速の速さを見る
同じ色のローソク足が3本出たという事実だけでは不十分です。3本の実体サイズがどう変化しているかを合わせて見る必要があります。1本目、2本目、3本目の実体が同程度の大きさで続くなら、トレンドが通常の速度で拡大している状態です。一方、3本目の実体が前の2本より明らかに小さくなるなら、同じ幅だけ価格を押し上げるために、より多くの買い手が必要になっているサインです。この小さくなった3本目を exhaustion soldier と呼び、同じような場面ではしばしば天井が作られます。
そうなる理由は、足ごとに買いが積み上がる仕組みにあります。1本目の陽線は売り手の損切りを吸収した足であり、2本目の陽線は1本目の強さを見た短期の買い手が入ってきた足です。3本目が前の2本と同じだけ伸びるには、さらに強い買いが必要です。その買いが弱まると、結果として3本目は小さくなり、上ヒゲが長くなります。上ヒゲは、上値で買いが売りを吸収しきれなかった痕跡です。
NVDA 日足では、2024年6月18日から20日までが exhaustion soldier が極端な形で表れた例です。18日は +1.94% の陽線、19日は +3.00% の陽線となり、2本続けて陽線が伸びました。しかし通常の Three White Soldiers なら3本目も陽線であるべき場面で、20日の足は始値 140.76ドルまでギャップアップして3本目の陽線を作るように見えた後、8ドル超の上ヒゲを残して押し戻され、終値 130.78ドル、-7.10% の陰線で引けました。3本目が陽線を維持できず陰線に反転したこと自体が、買いの消耗を示す最も強い形です。終値ベースでは、その日から1か月で119ドルまで下落しました。3本目の上ヒゲが1本目・2本目の実体の半分を超える、あるいは3本目がそもそも陰線で引ける瞬間を基準にすれば、シグナルは明確になります。
反対に、3本目がより大きな実体で引けるなら、トレンドは通常の加速局面です。SOL 日足では、2024年11月5日から7日までの3本の陽線が +6.1%、+9.4%、+14.5% と徐々に大きくなって引け、その後2週間で192ドルから263ドルまで上昇が続きました。3本目の実体が拡大しているのか縮小しているのかが、次の行動を分ける分岐点です。
ギャップの大きさで、トレンドの健全性を見る
3本がギャップなしで続く構造と、大きなギャップで始まる構造は別のパターンです。ギャップのない3本は、始値が直前足の実体内で始まり、終値だけが新高値を更新する形です。買い手が一貫した速度で入ってきた痕跡です。一方、大きなギャップを伴う3本は、2本目・3本目が直前の終値よりかなり上で寄り付き、さらに上で引ける形です。追随買いが始値に一気に入り、価格を押し上げた痕跡です。
24時間市場(暗号資産、FX、一部先物)では本格的なギャップはほとんどありませんが、同じ情報は最初の1〜3時間足の強い陽線として現れます。つまり日足でギャップのように見える場面は、その日の最初の数時間で作られた急騰であり、この強い寄り付きは追随買いの痕跡です。
追随買いが作った3本の本当のリスクは、始値と直前足の終値の間にある空白地帯に、未消化の売り注文が積み上がっていることです。価格がその場所に戻ると、追随買いの参加者が一斉に損切り売りへ回ります。

TSLA 日足では、2023年1月27日から31日までがこの構造でした。27日は +11.0% の陽線、30日は始値が前日終値より5ドル上で始まり +1.0% の陽線、31日も始値がさらに4ドル上で始まり +1.3% の陽線で引けました。その後、2月2日から196ドルから167ドルまで約15%調整し、ギャップを埋めました。ローソク足の形は教科書的な Three White Soldiers でしたが、始値のギャップが追随買いの痕跡でした。
> NVDA 日足で、直近5営業日に +30% 上昇した後に Three White Soldiers が形成される場面を見ます。
> 3本目の始値が2本目の終値より2%以上ギャップアップして始まり、3本目の実体が1本目・2本目の実体平均の60%以下に小さくなり、同時に3本目の上ヒゲが3本目の実体より長く引けます。
> この3本目の終値を反転候補シグナルと見なし、保有ポジションの1/3を手仕舞うか、トレーリングストップを1.5 ATRまで狭めます。
> 3本目の高値を次の3本以内に終値ベースで上抜けた場合、このシグナルは誤りと見なし、トレンド加速として読み直します。
> 新規エントリーはしません — このシグナルは保有ポジション管理の分岐点です。
パターンが作られた位置で、意味は正反対になる
同じ Three White Soldiers でも、そのパターンが作られた位置によって意味は正反対になります。位置は大きく3つに分類できます。レンジ下限・長期下落後の最初の反発地点、上昇トレンド中の押し目(Pullback)回復地点、そして長期上昇後の新高値圏です。
安値圏レンジの上抜けで出た Three Soldiers は、本物のトレンド開始です。売り手の損切りはレンジ上限に蓄積されており、3本の陽線がその損切りを順に吸収しながら伸びます。この場面では3本目が小さくなってもトレンドは続きます。損切りの吸収が終わると、買いの速度は自然に一段落するためです。
上昇トレンド中の押し目(Pullback)回復地点も、通常の継続シグナルです。ETH 日足では、2024年2月26日から28日までがこの位置でした。1月から2,200〜2,500ドルのレンジを形成した後、26日に +3.7%、27日に +6.3%、28日に +3.0% の3本の陽線がレンジ上限を終値ベースで上抜け、3月中旬までに4,000ドルまで上昇しました。
問題は3つ目の位置です。長期上昇後の新高値圏で出る Three Soldiers は、売り手の損切りを吸収する対象がもはや上に残っていない場所で作られます。Wyckoff 分析でいう買いクライマックスがまさにこれであり、出来高を伴う大陽線の連続が最後の買い手まで引き込みながら完成します。BTC 日足では、2024年3月11日から13日まで、1月から2か月で +95% 上昇した後、11日に +6.8%、12日に +6.4%、13日に +3.4% の3本の陽線が新高値圏で作られ、3本目の上ヒゲは実体の2倍を超えました。その後2か月で、BTC は73,800ドルから56,500ドルまで約 -23% 調整しました。
位置の判定基準は、直近30本の価格推移で単純化します。30本の間レンジだったならレンジ上抜け、素直な上昇トレンドだったならトレンド継続、+30%以上上昇して新高値圏にあるなら買いクライマックス候補に分類します。同じ形でも、この位置分類によってエントリー・保有・手仕舞いの判断が分かれます。

Three Inside Up/Down は、圧縮後の放出を示すシグナル
Three Inside Up/Down は、Harami パターンの3本拡張型です。1本目は大きな陰線(Down 方向なら大きな陽線)、2本目は1本目の実体内に収まる小さな反対色の足で、Harami 条件に該当します。3本目は1本目の始値を終値ベースで回復する大きな反対色の足です。Three Inside Up は、大きな陰線が先に出て、その中で小さな陽線が1本入り、最後に大きな陽線で引ける流れで完成します。
このパターンの本当の情報は、2本目の小さな実体が1本目の売り(または買い)の速度を止めたという点にあります。3本目が1本目の始値を回復すれば、売りシナリオは崩れたと見て整理します。2本目が1本目の実体内に収まっていなければならないという条件が核心です。このとき2本目が1本目の実体からはみ出すと Harami 条件が崩れ、単に反対色の足が続いただけの形になり、結果としてシグナル価値は大きく低下します。
このパターンは圧縮後に放出する仕組みのため、トレンドの中盤よりも、レンジの終端やトレンド初動で意味を持つことが多くなります。ARB 4時間足では、2024年12月19日21:00の大陰線が0.870ドルから0.795ドルへ -8.6% 下落し、20日01:00の小陽線が0.798ドルから0.812ドルへ +1.7% 回復しながら直前の陰線実体内に収まりました。同日05:00の大陽線が0.812ドルから0.875ドルへ +7.8% 上昇して最初の陰線の始値を回復し、その後48時間で0.965ドルまで追加上昇しました。3本目が1本目の始値を終値ベースで回復した瞬間がエントリートリガーでした。
> ARB 4時間足で、直前レンジ下限の0.79ドル付近から大陰線が -5%以上下落し、次の足がその陰線実体内で小陽線として引けます(Harami 確認)。
> 3本目が最初の陰線の始値を終値ベースで回復した瞬間にエントリーします。
> 損切りは2本目の安値の下、0.5 ATRに設定します。
> 目標は直前レンジ上限の0.90ドルに置き、3本目のエントリー価格に対して1.5 ATRをリスクリワード基準として確認します。
> 次の5本以内に2本目の安値を終値ベースで下抜けた場合、圧縮後の放出が失敗したと見て手仕舞います。
落とし穴は、3本目が1本目の始値を終値ベースで回復しなければならない点です。3本目の上ヒゲが1本目の始値を超えても、終値がその下で引けるなら回復失敗として扱い、次の足を追加で待ちます。
Three Outside Up/Down は Engulfing の拡張パターン
Three Outside Up/Down は、第2回で扱った Engulfing(包み足)パターンの3本拡張型です。1本目は小さな足、2本目は1本目の実体を完全に包み込む大きな反対色の足で、包み足に該当します。3本目は2本目と同じ方向へさらに拡張する足です。Three Outside Up は、小さな陰線が先に出て、次に大きな陽線が直前足を完全に包み込み、最後に追加の陽線が流れを引き継ぐ構造です。
包み足はそれだけでも強い反転シグナルですが、3本目の拡張によって、Engulfing の次の足でも同じ方向の流れが続いていることを確認できます。つまり3本目の終値が2本目の終値をさらに更新すれば、買い(または売り)の主導権が次の足まで続いたと確認できます。
Three Outside Up の落とし穴は、3本目の実体サイズです。2本目がすでに大きな包み足であるため、追随買いが3本目の始値に集中しやすくなります。その結果、3本目が強い始値でスタートした後、長い上ヒゲを残して引けることがよくあります。3本目が2本目の終値を終値ベースで更新できず、上ヒゲだけを残した場合は、完成失敗に分類します。
SPY 日足では、2023年10月30日から11月1日までが Three Outside Up の典型例です。直近5営業日で -3.5% 下落した後、30日に小陽線、31日に大陽線が1本目の実体を完全に包み込む包み足として引けました。11月1日は始値 419.71ドルから終値 422.66ドルまで +0.71% の陽線となり、2本目の終値を更新しました。その後、11月の1か月間で SPY は437.50ドルまで追加上昇しました。
確認材料は出来高の変化と上位時間軸の整合
3本連続パターンの精度を高める確認材料を2つ整理します。1つ目は、出来高が同調して増加していることです。3本が現れるときに出来高も各足で増えていれば、主導権が実際に拡大している痕跡です。反対に、1本目だけ出来高が大きく、2本目・3本目で減少するなら、だましの可能性が高くなります。直近20本の平均出来高に対する各足の出来高比率を基準にすると単純です。3本すべてが平均の1.2倍以上なら同調を確認、3本目が平均以下なら出来高の弱化に分類します。
2つ目は、上位時間軸のトレンドとの合流です。4時間足の Three White Soldiers が日足の上昇トレンド内にあるなら継続セットアップとして扱い、日足の下落トレンド内にあるなら短期のショートカバー反発として分類し、手仕舞いの距離を狭めます。時間軸の合流を無視すると、3本目が日足の抵抗に止められてホイップソー(Whipsaw)が作られます。短期時間軸ではパターンが完成しているのに、上位時間軸の抵抗が3本目の上にそのまま残っているときに、これが最も起こりやすくなります。
3本連続パターンは単独シグナルではありません。ローソク足の色と形は出発点にすぎず、3本の大きさの変化、ギャップの有無、作られた位置、出来高の同調、上位時間軸との合流を順に通過して初めて、本物のエントリーまたは保有判断の根拠になります。3本目の上ヒゲが1本目・2本目の実体の半分を超える足 — このシリーズで最も頻繁に天井と底になりやすい場所です。
