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エリオット波動・実践編 1 - カウントを売買計画に落とし込む方法
波動カウントを、エントリー価格、損切り価格、ポジションを減らす条件、シナリオを捨てる条件まで備えた売買計画に変換します。
> カウントが正しいかを議論する前に、エントリー価格、損切り価格、ポジションを減らす条件、シナリオを捨てる条件を先に書き出してください。
チャートにエリオット波動のカウントを描くことと、そのカウントで実際に売買することは別の作業です。過去チャートなら、最もきれいに見えるカウントを選べばそれで十分です。しかしリアルタイムのチャートでは、いまのカウントが正しいと確認する方法はなく、次の足が出た瞬間に構造そのものが変わることもあります。
だから実戦では、カウントをチェックリストのように使う必要があります。現在のシナリオ、エントリー価格、損切り価格、ポジションを減らす条件、シナリオを捨てる条件、代替シナリオが一行で整理されていなければなりません。このうち一つでも空欄なら、分析はあっても売買計画はない状態です。
この記事では、エリオット波動を実際のポジションにつなげる手順を整理します。まだ有効なシナリオだけを残し、1波・2波の後に3波を狙う条件を決め、動きが遅すぎるときはサイズを落とし、短い時間軸のノイズをふるい落とす流れです。

チャートには、まだ有効なシナリオだけを残す
エリオット波動のチャートがごちゃつく理由は、すでに否定されたカウントを消さないからです。かつては可能性があったカウントでも、損切り価格を割り込む、時間がかかりすぎる、条件を満たさないといった事実が出たら、チャートから外すべきです。
まだ有効なシナリオは、三つの質問に答えられなければなりません。第一に、正しいなら次にどんな値動きが出るべきか。第二に、間違っていた場合、どの価格で即座に認めるのか。第三に、その価格までの損失を許容できるのか。
この三つに答えられないカウントは、補助メモにとどめてください。実際のチャートには、現在の売買に結びつくシナリオだけを残します。そうしておけば、次の足が出たときも、あらかじめ決めた基準に従って行動できます。
1波・2波の後に3波へ入るには三つの条件が必要
最も実戦的なエリオット波動のセットアップは、1波・2波の後に3波候補を狙う形です。方向性が始まったばかりで、損切りは2波安値の下に比較的明確に置けます。正しければ、3波の伸びによって大きなリターンが期待できます。
ただし、1波・2波が確認できたからといって、すぐに入ってはいけません。1波高値のブレイク、ブレイク後の再テストでの下支え確認、3波の時間条件。この三つが同時に満たされる必要があります。一つでも欠ければ、だましのブレイクや複合調整に巻き込まれる可能性があります。
> 上昇シナリオで、1波高値が100、2波安値が88だとします。
> 価格が終値ベースで100を上抜け、その後1-3本以内に98-101のゾーンを再テストします。
> 再テストで終値が再び100を回復したらエントリーします。
> 損切りは2波安値から0.3 ATR下に設定します。
> 3波候補が、2波に要した時間の1.5倍以内に1波の長さの1.0倍以上に伸びなければ、ポジションを半分に減らします。
> 価格が2波安値を終値で割り込んだら、インパルスのシナリオを捨てます。
このセットアップの利点は、間違っていたときにどこで撤退するかが明確なことです。2波安値が遠いなら、エントリーサイズを落とすか、再テストまで待ってください。エリオット波動でよいエントリーは、損切りが近いカウントから生まれます。カウントがきれいかどうかは、その次の問題です。

想定より動きが遅いなら、カウントは弱くなる
多くの人は、エリオット波動で損切り価格だけを見ます。しかし、値動きが遅すぎることも重要な警告サインです。3波なら速やかに伸びるべきですし、トライアングルなら圧縮が徐々に狭まるべきです。C波ならA波に近いスピードで動く必要があります。
価格がまだ損切りに触れていなくても、時間がかかりすぎればシナリオの信頼度は下がります。このとき、同じサイズのまま粘り続ける選択は望ましくありません。動きが遅くなったらポジションを減らし、追加エントリーを止め、次の確認を待ってください。
時間条件を数値で示すと、判断しやすくなります。3波候補は、2波にかかった時間の1.5倍以内に1波高値を明確に超えられなければ弱いと見ます。C波候補は、A波にかかった時間の2倍を超えてもA波の長さの0.8倍にも届かないなら、調整構造を見直す必要があります。
短い時間軸のカウントは、エントリータイミングにだけ使う
5分足でも5波が確認でき、1時間足でも5波が確認でき、日足でも5波が確認できます。この三つを同じ重みで扱うと、分析はいつまでも揺れ続けます。短い時間軸のカウントはエントリータイミング用であり、上位足のカウントは方向性と損切り基準のために使います。
たとえば日足がまだ3波の拡張中なら、15分足の小さな5波ダイバージェンスだけを見て大きなショートポジションを取るべきではありません。その小さな5波は、日足3波の中にある細かな調整にすぎない可能性があります。反対に、日足が5波の失速候補なら、15分足の小さな下降5波は手仕舞いシグナルとして重みが増します。
上位足から整理してください。日足で方向を見て、4時間足で構造を確認し、1時間足でエントリーを取る。この順序です。この階層が合っている必要があります。エントリー時間軸でよく見えるカウントでも、上位構造と逆向きなら、サイズを落とすか見送ってください。

フィボナッチは損切り幅から計算する
エリオット波動では、フィボナッチは目標価格を測る道具としてよく使われます。3波は1.618倍、5波は0.618倍といった使い方です。ただし実戦では、目標価格を決める前に、まず損切り幅とリスクリワードを計算するために使うべきです。
2波が61.8%の戻しで止まり、1波高値をブレイクすれば3波候補になります。しかし損切りを2波安値の下に置くなら、エントリー価格から損切りまでの距離がどれだけあるかを先に確認しなければなりません。1.618の目標までのリターンが2Rにも届かないなら、よいカウントであっても、よいトレードではありません。
フィボナッチ目標は、ポジションを分割する基準として使ってください。1.0倍で一部利確、1.618倍で追加利確、2.0倍以上はトレンドが非常に強いときだけ残します。目標ゾーンごとにリスクを減らしていくやり方です。
売買日誌には「維持・縮小・終了」の三状態だけを残す
実戦では、毎回その場でカウントを解釈し直してはいけません。売買日誌では、現在のカウントを三つの状態だけで管理してください。維持、縮小、終了です。
- 維持: 損切り価格が守られ、動きも遅れておらず、波動条件も合っている状態です。
- 縮小: 損切り水準はまだ守られているものの、動きが遅い、またはモメンタムが弱くなっている状態です。
- 終了: 損切り価格の到達・割り込みや条件未達が出た、または代替シナリオのほうが有力になった状態です。

こう管理すると、エリオット波動はずっとシンプルになります。現在の状態が維持なのか、縮小なのか、終了なのかを判断すればよいからです。結果として、間違ったカウントを長く抱え続けるコストを減らせます。
よいカウントは損切り価格が明確である
エリオット波動には、チャートを説明する力があります。だからこそ、かえって危険でもあります。説明に説得力があるほど、損切りを遅らせやすくなるからです。よいカウントは、その逆に損切りをより明確にします。
エントリー前に、必ず四行を書き出してください。エントリー価格、損切り価格、ポジションを減らす条件、捨てた後に見る代替シナリオです。この四行がなければ、そのカウントは売買計画ではありません。
エリオット波動をうまく使う人は、間違ったカウントを素早く消し、生き残っているカウントだけを小さなリスクで試します。その違いが、実戦での成績を分けます。