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EMA — 指数移動平均

EMAの並びにおける角度変化から、ゴールデンクロスに先行してトレンド転換の可能性を捉えます。

ゴールデンクロスが発生する時点では、短期EMAはすでに長期EMAを下から上へ抜けています。2本の線が交差するまでの数日間、短期EMAは横ばいの状態から上向きに曲がり、長期EMAはそれより一歩遅れて曲がり始めます。交差の直前には、短期EMAの角度はすでに変化している一方で、長期EMAはまだフラットなままです。この角度差が、平均して5〜10本ほど早くトレンド転換を知らせてくれます。

クロスは結果であり、角度はプロセスです。EMAを2本の線の交差点としてだけ見ると結果だけを見ることになりますが、2本の角度がどう変化しているかを見ると、その結果が作られていく過程を先に読むことができます。

クロス前に短期EMAの角度が先に変わり、転換を一歩早く知らせる

9・21・50・200は慣習として定着した数字です

EMAの期間として9・21・50・200が定着した理由は慣習です。1980年代の米国株市場で、1か月(20営業日)、1四半期(50営業日)、1年(200営業日)に合わせて使われた数字がそのまま定着し、SPYではたまたまよく機能しています。しかし、NVDAの押し目(Pullback)は30付近で止まることが最も多く、BNBの押し目は13/34に集まります。24時間取引される暗号資産の200は、米国株の200と同じ意味を持ちません。

この点を認めると、EMA分析の最初の手順が変わります。自分が取引する資産の日足1〜2年分を表示し、価格が押し目をつけた後に反発した位置が、どのEMA付近に集中しているかを点で確認します。点が最も密に集まるEMA期間が、その資産にとって本当の押し目ラインです。この分布確認を一度行うだけで、毎週何十回も繰り返すエントリーの精度が左右されます。

NVDAで30が確認できたなら、21で押し目を判断しません。BNBで34が確認できたなら、21は見ません。この手順を飛ばしたエントリーは、その資産で確認されてもいない平均的な成功率に賭けているのと同じです。

資産ごとに押し目が集まるEMA期間が異なることを分布で確認

角度変化 — クロスより一歩早く

傾きを数値で見るには、直近10本のあいだにEMA値がどれだけ変化したかを、ローソク足ごとに追います。変化量が一定ならトレンドは生きており、変化量が小さくなればフラット化が進んでいます。変化量がマイナスに転じれば、ラインそのものが折れ始めている状態です。チャートに直接描いてもよく、頭の中で線を引いても構いません。重要なのは、変化量がどう変わっているかです。

TSLAが2024年4月に150ドル付近で横ばいを始めたとき、価格はまだ50 EMAの上にありましたが、50 EMAの10本分の傾きはプラスからほぼ0まで低下しました。デッドクロスが出た位置は145ドルで、その時点ではすでに価格が2週間下落した後でした。だから角度変化を見ていた人は、150付近で利確を終えていました。

上昇トレンドで50 EMAがフラットになると、価格がまだ50 EMAの上にあっても、下支えする力はすでに弱まっています。そのため同じ押し目買いのセットアップでも、角度がフラットになる前に出たのか、後に出たのかで成功確率が分かれます。

50 EMAが平坦化する前と後で、同じ押し目買いの勝率が変わる

EMA Cloud — 線の周辺のゾーンで見る

EMAを1本の線としてだけ見ると、押し目はその線に正確にタッチしなければならないと考えがちです。しかし実際の押し目は、1本の線にぴったり触れるわけではありません。その線の周辺にある一定のゾーンまで到達します。2本のEMAを1組にして、その間を色で塗ると(EMA Cloud、Mr Charts系のトレーダーが使うツール)、そのゾーンが視覚的に見えるようになります。

読み方はシンプルです。クラウドが緑(短期EMAが上)のあいだに、価格がクラウド内へ下がり、その後クラウドの上で終値をつけるローソク足が押し目買いです。クラウドの色が赤に変われば、トレンド転換が進行中です。2本のEMAの間隔は、トレンドの強さをそのまま表します。間隔が広がればトレンドは強まっており、狭まれば弱まっています。2本が並行に進むなら、トレンドは安定局面に入っています。

> BNB日足では、分布確認によって13/34が押し目ラインとして確認されました。クラウドが緑を維持する上昇トレンドの中で、

> 価格がクラウド内へ下がり、クラウドの上で終値をつけるローソク足が出ます。

> その足の終値で買いエントリーし、損切りはクラウド下限(34 EMA)の下0.5 ATR。

> クラウドの色が赤に変わるか、価格がクラウド下限を終値で割り込めば、このセットアップは失敗と見なします。

重要なのは、終値がどこで確定したかです。ローソク足の途中で短期EMAを一時的に割り込んでも、終値がクラウドの上なら押し目は終わっています。反対に、終値そのものがクラウドの下なら、トレンドは崩れつつあります。1%の割り込みを損切りにすると、毎回通常のノイズで手仕舞いさせられます。

価格がクラウド内へ下がりクラウド上で終値をつける押し目エントリー

EMAの並びの4段階がトレンドの成熟度を示します

3本のEMA(短期・中期・長期)を同時に表示すると、その並びだけでトレンドがどれだけ成熟しているかが分かります。

  • ステージ0 — 絡み合い: 3本のEMAが近い価格帯で交錯するレンジ相場であり、この段階では新規エントリーは見送ります。
  • ステージ1 — 広がり始め: 短期EMAが一方向へ離れ始め、中期・長期EMAはまだフラットです。トレンドが始まるかどうかを見極める段階なので、エントリーは保守的に扱います。
  • ステージ2 — 並びの完成: 短期、中期、長期(またはその逆)の順に3本がきれいに並びます。トレンドの中心にあり、押し目買いが最も機能しやすい局面です。
  • ステージ3 — 間隔の縮小: 短期EMAが再び中期EMAへ近づき、2本の間隔が狭まります。トレンド弱化のシグナルなので、新規エントリーは止めます。

同じ時期の同じ資産でも、ステージが違えばセットアップの成功確率は明確に変わります。NVDAが2024年5月に90ドル台(分割前基準)でステージ2の強気配列を維持していたあいだ、押し目買いはほぼ毎回機能しました。しかし、その並びが8月に入ってステージ3(間隔の縮小)へ変わると、同じセットアップは機能しにくくなりました。

3本のEMAが0〜3段階の並びを経てトレンドの成熟度を示す

短期EMAは先にダマシを出します

急落後の速い反発局面では、9/21のゴールデンクロスがよく発生します。短期EMAが反発に素早く引っ張られるためです。同じ時点で、50・200 EMAはまだ下向きです。つまり短期EMAのゴールデンクロスは反発の結果にすぎず、トレンドはまだ転換していません。

この罠は、短期EMAにトレンド判断を任せるたびに起こります。SOLが2024年8月に100ドル付近まで急落した後、すぐに130ドルへ反発したとき、9/21のゴールデンクロスは1週間で発生しました。しかし、その後2週間以内に再び110まで下落しました。その時点で50/200はまだデッドクロスの状態でした。

本当のトレンド転換は、すべての期間のEMAが同じ方向に並んだときに確認されます。短期EMAだけがゴールデンクロスを作った場面でエントリーすると、トレンドに逆らうエントリーになります。だから、50・200の角度が変わり始めるまで待つコストは、ダマシで受ける損失より小さいのです。

短期EMAだけのゴールデンクロスと全期間が揃ったクロスの違い

EMAを誤って使う3つのパターン

  • 慣習的な数字を自分の資産にそのまま使う: 9/21が別の資産でうまく機能するからといって、自分の資産でも機能する保証はありません。分布確認を一度もしていない人は、平均的な成功率に賭けているだけです。
  • 1点だけで見る: 価格がEMAを1%割り込んだ後、終値がEMAの上で確定するローソク足は、押し目終了のシグナルです。一時的な割り込みを損切りにすると通常のノイズで手仕舞いすることになるため、ゾーンと終値を基準に見るのがEMA本来の使い方です。
  • むやみに期間を短くする: EMA(9)がEMA(21)より速く反応するということは、その分だけ頻繁に振らされるという意味でもあります。短期EMAだけでトレンドを判断するとダマシが大きく増えるため、期間を短くする前に、なぜより速いシグナルが必要なのかを先に決めるべきです。