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エリオット・ハーモニック波動(第2回)— 比率体系と相互確認
HEWの比率はどこから生まれ、何を基準に測定するのか。フィボナッチ・√2・加算比率と、複数の次数が一つの価格帯で互いを確認する相互確認を扱います。
> HEWにおいて比率は、カウントを検証する基準です。複数の次数の比率が一つの価格帯で互いを確認したとき、カウントが成立します。
[第1回]では、エリオット・ハーモニック波動(HEW)のただ一つの修正を扱いました。正統派エリオットがインパルス1・3・5を5つの波に分ける位置で、Ian Copseyはインパルスを3つの波(a-b-c)として見ます。そのaとcはさらに5つの波、bは3つの波に分かれます。この構造そのものは第1回で十分に説明したので、第2回はその構造の上で働く比率体系へとすぐに入ります。
HEWにおいて比率は、カウントが正しいかを分ける検証ツールです。正統派エリオットが比率を補助的な参考として使うのとは、位置づけが異なります。正統派のやり方は、まず見えるとおりに波にラベルを付け、その次にフィボナッチの戻りを参考として添える順序をたどります。HEWは順序が反対です。比率が合致するかをまず問い、通過したカウントだけを認めます。Copseyがインパルスを3つの波として見直した根拠も同じところにあります。5つの波で数えるときは比率が頻繁に食い違い、3つの波で数えるときに波と波をつなぐ比率がより一貫して合った、という観察です。比率体系はHEWの土台です。この記事では、その比率がどこから生まれ、何を基準に測定され、どのようにカウントを検証するのかを順に扱います。
比率の三つの出どころ
> Copseyの比率は、フィボナッチ数列、√2の導出値、加算比率という三つの出どころから生まれます。
Copseyは三か所から比率を取り入れます。馴染みのあるフィボナッチの戻り一つだけに頼らず、三つの出どころをまとめて、より細かい格子を作ります。
- フィボナッチ数列:HEWが使う100%未満の比率の基本セットは、5.6%、9.0%、14.6%、23.6%、33.3%、38.2%、50%、61.8%、66.6%、76.4%、85.4%、90.0%、95.4%です。38.2・61.8・76.4のような馴染みのある値とともに、正統派のツールではあまり使わない5.6・9.0・14.6といった端数の比率までセットに含まれます。100%を超えるセットは、161.8%、261.8%、423.6%、685.4%などと続きます。端数の比率までセットに入る理由は、小さな次数で短い波を測るとき、大きな比率だけでは格子が粗すぎるからです。
- √2(1.41421…)の導出値:HEWを特徴づける出どころです。41.4%は√2−1から生まれ、58.6%はその反対値100−41.4、すなわち2−√2と同じです。Copseyは、音楽の音程に√2が頻繁に見られるという知人の話を聞いて、この出どころを取り入れたと述べています。41.4%・58.6%は、正統派エリオットのツールにはほとんどないHEW固有の値です。38.2と50の間、50と61.8の間の隙間を、この二つの値が埋めます。戻りが38.2・50・61.8を外れて41.4や58.6で止まるとき、正統派のツールなら食い違った値として読む位置を、HEWは√2の格子の上の正常な値として見ます。
- 加算比率:100%・200%・300%のような整数に、100%未満のフィボナッチ比率を足した値です。176.4%は100+76.4、185.4%は100+85.4、223.6%は200+23.6、261.8%は200+61.8です。加算比率は、インパルスが1波を大きく超えて伸びるとき、その長さをとらえるのに使います。100%未満のセットが戻りを測る格子なら、加算比率は拡張を測る格子です。二つの格子が100%を境にかみ合うので、戻りと拡張を同じ比率体系で測ります。

戻り — 2波・4波・b波
> 戻りは38.2・50・61.8を中心に、√2の値と深い戻りが加わり、常に戻す対象の波を基準に測定します。
調整区間が直前のトレンドをどれだけ戻すかが戻り比率です。HEWが100%未満のセットの中で実際によく使う値として、38.2%、41.4%、50%、58.6%、61.8%、76.4%、85.4%を挙げます。38.2・50・61.8が中心であり、ここに√2から生まれた41.4・58.6が加わります。76.4・85.4は深い戻りであり、正統派のカウンティングならトレンドからの逸脱を疑う深さまでも、HEWは正常な範囲として見ます。
測定の基準が何よりも重要です。戻りは、常に戻す対象の波の長さを基準に測ります。分母は、まさにその戻りが戻している一つの波の長さです。直前の全体の動きや、より大きな次数の区間は分母には使いません。
- 2波は、1波の長さの何%かで測定します。1波の終点から始点の方向へ、1波の長さの38.2%・50%・61.8%などを適用して、2波の予想安値をとらえます。
- 4波は、3波の長さの何%かで測定します。3波が長ければ、4波の絶対的な幅もそれに比例して大きくなります。
- b波は、同じインパルスの中のaの長さの何%かで測定します。a-b-cの一つの塊の中で、bがaをどれだけ戻すかを見ます。
正統派エリオットと同様に、2波は深く戻すことはできますが、1波の始点を超えることはできません。1波の長さの100%を超える戻りは、カウントを無効にします。ただし、76.4%・85.4%のような深い戻りはHEWでは珍しくありません。正統派の慣行は61.8%を超える戻りをトレンド減速のサインとして読みますが、HEWはインパルスの中のbが本物の3つの波の調整だという前提の上で、この深さを正常と見ます。深い戻り一つでカウントが無効になることはありません。この点が、戻り比率を読むときの核心です。
3波の拡張 — 1波基準
> 3波は1波を基準に176.4%から295.4%まで拡張し、1.764と2.236が代表値です。
トレンドを率いるインパルスが1波を大きく超えて伸びる場合、その長さは加算比率でとらえます。Copseyが非常によく見ると述べた3波の拡張セットは、176.4%、185.4%、195.4%、223.6%、261.8%、276.4%、285.4%、295.4%です。すべて加算比率です。176.4=100+76.4、185.4=100+85.4、195.4=100+95.4、223.6=200+23.6、261.8=200+61.8、276.4=200+76.4、285.4=200+85.4で構成されます。このうち1.764(176.4%)と2.236(223.6%)が代表値です。
3波は1波を基準に測定します。1波の長さに比率を掛けて、3波の予想される長さを求めます。直前の全体の動きや他の区間は分母には使いません。2波の安値にその値を足すと、3波の終了が予想される価格帯が出ます。ここで加算比率の形が意味を持ちます。176.4%は、1波を一度まるごと通り過ぎ(100%)、そこに1波の76.4%を足した距離です。加算比率は、インパルスが直前のインパルスの幅を一度すべて満たし、その上に深い戻りの分だけをさらに乗せる動きを、そのまま表します。
正統派エリオットは、3波が1波を超えて長く伸びる場合を「エクステンション(extension)」という別の概念として扱います。HEWはエクステンションを別に設けず、同じ加算比率のセットで処理します。3波が1波の1.764倍であれ2.236倍であれ、すべて同じ格子の上の一つの値です。HEWは拡張の度合いを、例外ルールなしに比率一つで扱います。正統派エリオットが別の仕組みを設ける位置を、HEWが比率一つに統合するという点で、二つのやり方が分かれます。
c波の投影 — a波基準
> c波は、同じインパルスの中のaを基準に85.4%から161.8%まで投影し、bが終わった地点でaの長さに比率を掛けます。
一つ下の次数に下りると、インパルスの中のc波が、同じインパルスの中のa波と比率でつながります。Copseyがよく見ると述べたc波の投影セットは、85.4%、95.4%、100%、105.6%、109%、114.6%、123.6%、138.2%、161.8%です。cは通常、aと同じ長さ(100%)からaの1.618倍の間に位置します。100%前後の値(85.4・95.4・100・105.6・109)がセットの中央に集まっていますが、これはcがaと近い長さで終わる場合が最も多いという意味です。
c波は、同じインパルスの中のa波を基準に測定します。b波が終わった地点で、aの長さに比率を掛けて投影します。たとえばcがaの100%なら、bが終わった地点からaの長さの分だけ、cがaの161.8%ならaの長さの1.618倍の分だけ投影した値が、cの終了が予想される価格帯になります。
c波の投影は、3波の拡張の測定とは次数が異なります。3波の拡張は一つ上の次数でインパルス3波をインパルス1波と比べる作業であり、c波の投影は一つ下の次数でインパルスの中のcを同じインパルスの中のaと比べる作業です。二つの測定は次数が異なるだけで、一つの波を同じ種類の別の波と比べるという同じ論理に従います。このように次数の異なる二つの投影が同じ価格帯を共に指し示すとき、カウントが検証されます。この点は、後の相互確認で扱います。
測定の原則 — 一つの波をもう一つの波と比べる
> Copseyは「直前の全体の動きの%」という曖昧な測定を退け、常に一つの波をもう一つの波と直接比べます。
ここまでの測定のやり方には、一つの原則が貫いています。HEWの比率は、常に一つの波をもう一つの波と直接比べます。
- c波はa波と比べます。
- 3波は1波と比べます。
- 4波は3波と、b波はa波と比べます。
Copseyは、正統派の慣行が「直前の全体の動きの何%」という曖昧な測定を使っていると指摘します。彼は、5波を測るときに「1波の始まりから3波の終わりまでの全体の動きの23.6%なのか、それとも138.2%なのか」が不明瞭である点を問題として挙げます。同じ波について、分母を何にとるかによって23.6%とも138.2%とも測れるなら、その比率はカウントを検証できません。分母が揺らげば、どんな止まりの位置でも事後的に一つの比率に合わせられるからです。
HEWは基準となる波を一つに固定して、この曖昧さをなくします。明示された一つの波にもう一つの波を比べるので、測定が一貫します。全体の動きを分母にはしません。cはaに、3波は1波に比べるというルールが決まっているので、同じカウントを二人が測っても、同じ分母、同じ比率が出ます。比率がカウントを検証するツールになるには、分母がまず固定されていなければなりません。測定の原則が、その分母を固定します。

相互確認が検証の規律
> 複数の次数の比率投影が一つの価格帯で互いを確認したとき、初めてカウントが成立します。
HEWの比率が目標値の計算機にとどまらない理由が、ここにあります。Copseyの検証の規律は相互確認です。一つの比率投影だけでは、カウントは確定しません。異なる次数の投影が同じ価格帯に集まって互いを確認したとき、カウントが成立します。
Copseyの表現では、c波がa波と比率でつながらねばならず、iii波がi波と比率でつながらねばならず、iii波の中のc波が指し示す目標値も同じ区間を指さねばなりません。一つの次数の投影と別の次数の投影が一つの価格帯で重なるとき、その区間が終了の予想区間になります。複数の比率が同じ位置を共に指すこの収束が、カウントの根拠です。
Copseyはこの相互確認を「エリオットの主観性を減らす」仕組みとして説明します。正統派エリオットが見えるとおりにラベルを付ける位置で、HEWは比率の相互確認を通過したカウントだけを認めます。
相互確認が検証力を持つ理由は、二つの投影が互いに独立だからです。1波基準の3波投影と、a基準のc投影は、出発する波も異なり次数も異なります。カウントが間違っていれば、二つの投影が同じ価格帯に集まる理由はありません。それでも二つの値が一つの区間で重なるなら、その一致を偶然と見るのは難しいのです。異なる出発点から測った二つの距離が同じ位置を指すという事実そのものが、カウントの根拠になります。逆に、一つの投影だけがあり、それを確認してくれる別の次数の投影がなければ、HEWはその目標値を暫定値としてのみ置きます。単一の投影は、カウントを確定できません。
三つの出どころから比率を集める理由も、ここで明らかになります。格子が細かいほど、一つの価格帯で二つ以上の投影が同じ値を指す確率が高まり、同時に偶然重なる危険は抑えられます。フィボナッチの端数比率、√2の値、加算比率が一緒に作る格子が十分に密でなければ、次数の異なる投影どうしの収束をとらえられません。比率の出どころが三つだという点と、相互確認が検証の規律だという点は、一つの設計から出た二つの面です。
ワークド・サンプル — 二つの経路が一つの価格帯に集まる過程
> 仮想の上昇カウントで、二つの比率の経路が同じ価格帯を共に指し示す過程をたどってみます。
測定と相互確認を一つの流れとして見てみます。1波が100から109まで、長さ9で上昇したとします。
- 2波:1波の長さの38.2%を戻します。9 × 0.382 ≈ 3.4なので、109から3.4を引くと105.6付近で止まります。戻りは1波の長さを基準に測ります。
- 3波:1波の長さの176.4%の分だけ展開します。9 × 1.764 ≈ 15.9なので、2波の安値105.6に足すと121.5付近を指します。
- 3波の中のc:同じ3波の中のaを基準に測定します。cがaの100%付近なら、bが終わった地点からaの長さの分だけ投影した値が出ます。この値も121.5付近に集まれば、1波基準の投影とa基準の投影という、異なる二つの経路が一つの価格帯を共に指していることになります。
- 5波:1波の始まりから3波の終わりまでの区間を基準に、0.5~0.764倍を投影します。4波が終わった地点に、この区間の半分以上を足した値が終了の予想区間になります。
カウントの根拠は、1波と比べた3波の投影と、aと比べたc投影が、121.5という一つの価格帯に集まるという点、すなわち二つの比率の経路の収束です。個々の数字が小数点まで合うかは、その次の問題です。

この例で比率を変えてみると、検証の働き方がより明らかになります。もし同じ3波を1波の185.4%と仮定すると、9 × 1.854 ≈ 16.7となり、終了の予想が122.3付近に移ります。このときc投影が依然として121.5を指していれば、二つの経路は食い違い、その食い違いは、二つのうち一方のカウントが間違っているというサインです。カウンターは、二つの投影が再び一つの区間で出会うように比率の候補を調整するか、波のラベルそのものを見直します。比率がカウントを検証するという言葉の実際の働きが、この調整の過程です。ある一つの比率を選んだあと、その値が別の次数の投影と出会うかを確認し、出会わなければカウントを疑う、という循環です。
緩和される正統派のルール
> インパルスがダイアゴナル・トライアングルの性格を持つため、正統派エリオットのいくつかの絶対ルールは、HEWではそのままは適用されません。
HEWはエリオットの修正版なので、骨格の大部分を維持します。インパルスが3つの波だという前提のために、いくつかのルールが変わります。
- 1波と4波の重なり:正統派エリオットは、4波が1波の価格領域に入ることを禁じます。HEWはこの禁止を絶対ルールとしては置きません。Copseyの構造がダイアゴナル・トライアングル(diagonal triangle)から出発しており、ダイアゴナル・トライアングルは1波と4波の重なりを許す形だからです。HEWのカウントにおいて、わずかな重なりは無効のサインではありません。
- 深いb波(deep wave-b):インパルスの中のbは本物の3つの波の調整なので、深く戻すことができます。正統派のカウンティングならトレンドが崩れたと読む位置も、HEWでは正常な区間として見ます。
- 失敗した5波と拡張の積み増しの拒否:正統派エリオットは、現実と食い違うとき「失敗した5波」や「延長された波」といった仕組みで補正します。Copseyはこうした仕組みを、誤った分割から生じた余計なものと見ます。拡張の有無は、別のルールなしに比率で処理します。
これらの緩和されたルールは、比率体系と一つの塊です。正統派エリオットがルール違反を例外の仕組みで埋めていた位置を、HEWは比率の相互確認で代えます。1波と4波が重なっても、bが深く戻しても、ルール違反としてカウントを捨てることはしません。代わりに、比率投影が一つの価格帯に集まるかを見ます。ルールでふるい分けていたことを比率でふるい分けるのが、HEW運用の骨子です。だからこそ、比率体系を理解しなければ緩和されたルールも恣意的な例外のように見え、比率体系を理解すれば、二つが一つの論理から出ているという点が明らかになります。
[第3回]では、インパルスを3つの波に変えることで増えた調整波の構造を扱います。調整の形、深いb波、2波と4波の交替、そして次数の判別が、どのようにカウントの半分を決めるのかを見ていきます。