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一目 — 平らな線が価格の中心になる理由
五本のうち三本は終値ではなく高値・安値の真ん中に引くので、横ばいで止まって平らになり、その価格帯が価格の戻る中心になります。
五本の線がそれぞれ何なのか、まず整理する
一目均衡表はチャートの上に五本の線を引きます。名前が耳慣れず、計算もそれぞれ違うので、最初は複雑に見えます。しかし一本ずつ切り離して見れば単純です。
転換線。 直近9足の高値と安値を足して2で割った値です。9足のうち高値が100、安値が90なら、転換線は95になります。見る期間が短いので価格を素早く追いかけ、短期の流れが上向きか下向きかを示します。短期の方向が変わる位置を捉える線なので、転換線と呼びます。

基準線。 転換線とまったく同じように求めますが、見る期間だけを26足と長くします。期間が長いので転換線よりゆっくり動き、中期の流れの中心を捉えます。価格が基準線の上にあれば中期の流れは上向き、下にあれば下向きです。基準線が右肩上がりなら中期の流れは上昇中、右肩下がりなら下落中、平らなら方向がないと見ます。トレンドの基準になる線なので基準線と呼び、一目均衡表でもっとも頻繁に見る線です。
先行スパン1。 転換線と基準線を足して2で割った値です。短期の中心と中期の中心を、もう一度平均した線になります。他の四本と違い、この値を今の位置に置かず、26足ぶん右へずらして引きます。正確に何足先かは足の数え方によって一足変わるので、第2回で別に整理します。
先行スパン2。 直近52足の高値と安値を足して2で割ります。五本の線のうち期間がもっとも長いので、もっとも遅く動き、長期の流れの中心を示します。先行スパン1と同じく26足先へずらして引きます。
遅行スパン。 前の四本の線と作り方が違います。高値・安値のちょうど真ん中を求めるのではなく、今日の終値をそのまま26足ぶん左へずらして引きます。今日の終値を26足前の位置に置けば、今の価格がその時より上か下か、一目で見えます。遅行スパンが五本の線のうちもっとも重要な線である理由は、第3回で扱います。
先行スパン1と先行スパン2のあいだを埋めた帯が雲です。二本の線が先へずらして引かれるので、雲も価格より前方に位置します。今の価格の上に浮かんでいる雲は、過去の値で計算して前方へずらしたもので、価格が進みながらぶつかる支持・抵抗帯を、前もって見せてくれます。転換線と基準線が今の価格と同じ位置に重なる線だとすれば、先行スパンと雲は、価格が届く前にあらかじめ引いておいた線です。雲の厚みと形は、第2回と第4回で扱います。

転換線・基準線・先行スパン2は同じ方法で求めますが、見る期間だけが9・26・52足と異なります。三本を並べて置くと、短期・中期・長期の中心が一目で頭に入ります。三本の線が一方向にきれいに並べば、三つの時間軸の中心がすべて同じ側を指しているということで、互いに絡み合っていれば、まだ方向が定まっていないということです。
三本の線は高値と安値だけで求める
転換線・基準線・先行スパン2の三本の線は、よく使う移動平均と作り方が違います。移動平均は、決まった期間の終値をすべて足して足の本数で割ります。一目の三本の線は終値を足さず、その期間の高値と安値、二つの値だけを足して2で割ります。
数字で見れば違いははっきりします。ある9足の終値平均が96なのに、同じ9足の高値が100、安値が90なら、転換線は95です。移動平均は9個の終値がどこに集まったかを反映し、転換線は区間の上下の端、二点だけを見ます。だから終値が区間のどこに集まろうと、転換線の値は変わりません。

細田悟一が終値平均に代えて高値・安値のちょうど真ん中を選んだ理由は、均衡にあります。買う側は価格を引き上げて高値を作り、売る側は押し下げて安値を作ります。その高値と安値のちょうど真ん中が、その区間で両者の力がぶつかり合って止まった位置、すなわち均衡値です。終値平均は区間で行き来した価格をすべて反映しますが、高値・安値のちょうど真ん中は、区間が届いた上下の端だけで中心を捉えます。
ここには時代背景もあります。細田が一目均衡表を作っていた頃にはコンピューターがなく、五本の線をすべて手で計算して引きました。その期間の終値を全部足して割る平均より、高値と安値、二つの値だけを足して半分に割る方が、手で行うにははるかに速いのです。均衡値という考えと計算の手軽さ、この二つが同じ方法を指していたわけです。
新しい高値・安値がなければ線は止まる
移動平均は一足ごとに新しい終値が入り、もっとも古い終値が抜けます。だから価格がどこへ行こうと、値は一足ごとに計算し直され、絶え間なく少しずつ動きます。狭い幅で上下する区間でも、終値が変わるぶんだけ移動平均はついて動きます。
一目の三本の線はそうではありません。転換線は9足の高値と安値、二つの値だけを見ます。9足のなかでより高い高値もより低い安値も出なければ、足が過ぎても二つの値はそのままなので、転換線は同じ位置に止まって平らになります。より高い高値が新たに出た瞬間、計算に使う高値がその値に変わり、転換線が上へ一段上がります。より低い安値が出れば下へ下がります。基準線は26足、先行スパン2は52足なので、より頻繁に、より長く平らになります。

平らな転換線や基準線は、その区間で価格が高値も安値も広げられず、横ばいだったという意味です。移動平均は横ばいのあいだも動き続けるので、この事実をうまく見せられません。一目の三本の線は、平らな形ひとつで見せてくれます。
平らな線は価格が戻ってくる中心だ
転換線や基準線がしばらく平らなら、その線の価格は、その区間の高値と安値のちょうど真ん中です。高値も安値も変わらず、線が止まっているからです。こうした横ばい区間では、価格は上へ行っても下へ行っても、この真ん中へ頻繁に戻ってきます。

だから平らな基準線は、横ばい区間の売買基準になります。価格が基準線の上で押されて基準線まで下りてくれば、再び上へ転じる買いの位置、基準線の下から上がって基準線に触れれば、売りの位置と見ます。この解釈は、線が平らなあいだだけ通用します。
基準線を終値ではっきり超えれば、価格が一方へ方向を定めたということなので、この位置はもう見ません。平らだった基準線が再び傾き始めるのも、同じ合図です。
傾いた基準線は支えてくれる位置だ
平らな基準線が横ばいの中心だとすれば、右肩上がりに傾いた基準線は、上昇の流れのなかで価格を支えてくれる位置です。価格が上がって一度押されるとき、右肩上がりの基準線まで下りてきて、また上がることがよくあります。
このとき基準線は止まっておらず、斜めについて上がっていくので、支える位置も一足ごとに少しずつ高くなります。右肩下がりの基準線は、下落の流れのなかで同じやり方で価格を押し下げます。

価格が基準線を終値で抜けて反対側に位置を定めれば、その流れが一度折れたと見ます。
五本の線と雲を一望したいなら、一目均衡表の概要にまとめてあります。