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一目 — N・V・E・NT目標値

出発の安値A・高値B・押し目の安値Cの三点でN・V・E・NTの目標値を引き、値が重なる水準を最初の利確の場面に取る。

> 目標値は勘で引く水準ではありません。出発の安値A・高値B・押し目の安値Cという三点を取れば、N・V・E・NTの四つの計算値が一度に出てきます。そして、それらの値が一つの価格帯に集まるところが、最初の利確とリスク縮小の場面になります。

値幅観測論が答える問い

一目均衡表の三大骨子は時間論・波動論・値幅観測論です。時間論は「いつ」変化が来るのかを、波動論は価格が「どんな形」で動くのかを見ます。値幅観測論は最後の問いに答えます。価格がひとつの方向へ進むと決まったなら「どこまで」進むのか、です。

細田はこの目標値を勘で決めませんでした。すでに終わった動きの幅をものさしで測り、これから進む幅をその幅と同じ大きさで見積もりました。思想の根は均衡です。相場は一方に偏ったあと、その分だけ反対に埋めて均衡を取り戻すと見ました。だからこそ一度出た幅が次の局面でも同じ大きさに繰り返されると読みました。相場が一度600上げたなら、次の局面でも同じように600上げる水準があるという考えです。値幅観測論はこの「同じ幅」を四つの方式で計算し、目標値の候補を一度に引いておく理論です。

四つの計算値は価格が止まりそうな候補、つまり近似値です。その価格に必ず届くと保証するものではありません。その候補が複数重なるとき、あるいは時間論の変化日と重なるとき、信頼度が上がります。この点は10編と13編で扱います。

ABCから正確に取る

四つの計算値はすべて三点から出ます。この三点を取り違えると、公式が合っていても目標値がずれます。だからABCを先に正確に押さえなければなりません。

Aはトレンドが始まった安値です。 上昇が出発した安値です。Bはその上昇がつけた最初の高値です。 Aから上げて一度休む直前の高値です。CはBから押した押し目の安値です。 高値Bをつけて一度戻したあとの安値です。整理すると、Aから上げてBをつけ、Cまで押したあと、再び上へ向かおうとする水準で目標値を計算します。

ABCから正確に取る
ABCから正確に取る上昇出発の安値A、最初の高値B、押し目の安値Cを順につけたジグザグの上にA・B・Cのラベルを付け、A→Bが一次上昇幅、B→Cが押し目幅であることを示した図

ここで最も多い間違いがAとCの取り違えです。どちらも安値なので似て見えます。Aは先に出た出発の安値、Cはあとに出た押し目の安値です。CはAより高い位置にあります。上昇途中の押しなので、出発点より上で止まるからです。AとCを入れ替えると四つの公式がすべてずれます。だから、先に出た安値がA、あとの安値がCという順序を固定しておきます。

N計算値 — 最も多い基本目標

一つ目の計算値はNです。公式は N = C + (B − A) です。AからBまでの一次上昇幅(B−A)を、押し目の安値Cの上に加えた値です。

考えの根は単純です。相場がAからBまで一度上げた幅が、その流れの基本的な推進力です。Cから再び上げるときにも、その分の幅をもう一度出す水準があると見ます。Cから出発して最初の上昇と同じ幅を加えるので、目標値はC+(B−A)です。

N計算値 — 最も多い基本目標
N計算値 — 最も多い基本目標A→Bの上昇幅をものさしで測ったあと、その長さをそのままCの上に加えてN=C+(B−A)の目標値を示し、同じ幅が二度繰り返されることを見せる図

N計算値は四つの値のうち最もよく出る基本目標です。押し目Cが深くても浅くても一次上昇幅だけを使うので、どんな相場でも無難に当てはまります。だから他の値を検討する前に、Nをベースの目標として先に引いておきます。

V計算値 — 深い押し目から出る目標

二つ目はVです。公式は V = B + (B − C) です。BからCまで戻した押し目幅(B−C)を、高値Bの上にもう一度加えた値です。

戻した幅を高値の上に再び加えるところから倍返し(戻りの2倍)と呼びます。名前のVはV字反発の形を意味しません。押し目、すなわちBからCまで押した下落幅を二倍に返すという意味です。CからBまで上がってきたあと、さらにB−C分を上げるので、Bを基準に押し目幅を二度加えます。押しが深いほど(B−Cが大きいほど)Vは高くなります。

V計算値 — 深い押し目から出る目標
V計算値 — 深い押し目から出る目標B→Cの押し目幅をものさしで測ったあと、その長さを高値Bの上に加えてV=B+(B−C)の目標値を示し、押し目幅が上にもう一度積み上がる様子を見せる図

Vは押しが深いときに使う目標です。押しが深いということは、一度大きく振るい落として再び上げるという意味なので、反発幅もその分大きく取ります。逆に押しが浅いとB−Cが小さく、VがNにぴったり寄るか、それより低くなります。だから浅い調整ではVを候補から外します。

E計算値とNT計算値

三つ目はEです。公式は E = B + (B − A) です。AからBまでの一次上昇幅(B−A)を、高値Bの上に加えた値です。NはCから出発し、EはBから出発します。同じ上昇幅をより高い点に加えるので、Eは四つの値のうち最も高い目標になります。

Eは本格的なトレンドでのみ届く大きな目標です。ここでよくある誤解を一つ押さえます。Eを最も基本となる目標だと思っている場合がありますが、最頻の目標はNです。EはCでの押しをほぼ無視して高値の上に一次上昇幅をまるごと加えるので、相場が止まらず強く押し上げる本格トレンドでのみ到達します。一般的な相場ではNをベースに取り、Eは強いトレンドのときに届く上方の目標として置きます。

E計算値とNT計算値
E計算値とNT計算値同じA・B・Cの上にN(C出発)とE(B出発)を一緒に引き、どちらも同じ上昇幅(B−A)を使うが出発点が違うためEがNより高いことを見せる図

四つ目はNTです。公式は NT = C + (C − A) です。二つの安値AとCの間の純上昇幅(C−A)を、押し目の安値Cの上に加えた値です。ここで(C−A)は下落幅ではありません。出発の安値から押し目の安値までの純上昇幅です。CがAより高いので、その差の分を再びCの上に加えます。

NTは四つの値のうち最も低く、最も稀に使う目標です。(C−A)は通常一次上昇幅(B−A)より小さいのでNTがNより低く出て、トレンドが弱く価格が遠くまで進めないときにだけ届きます。強い流れではNTを早々に通り過ぎてしまうので、目標としての使い道は小さいです。

押しの深さで優先順位を決める

四つの値をすべて引いておきますが、どの値をメインの目標と見るかは押しの深さ(B−C)で決めます。同じABCでも、押しが浅かったか深かったかによって、重きを置く値が変わります。

押しが浅ければNとEを優先します。浅い押しはトレンドが休まず押し上げるという意味なので、一次上昇幅をそのまま使うN・Eがよく当たります。このときVはNに寄るかその下に下がるので、別に見る値にはなりません。押しが深ければVをメインにします。深い戻りのあとの反発は幅が大きいので、戻り幅を二度加えるVが当てはまります。このときもNとEは候補としてそのまま残し、Vに最も大きな重きを置きます。NTはトレンドが弱く他の値に届かないときに見る最低の目標です。だから平時は一番下の候補として掛けておき、流れが弱いときにだけメインへ引き上げます。

押しの深さで優先順位を決める
押しの深さで優先順位を決める同じ高値Bから浅く押した場合と深く押した場合を並べ、浅いほうはN・Eが、深いほうはVがメインの目標として使われることを矢印で示した図

値が重なる水準が強い目標になる

四つの計算値の本当の使い道は、値が一つの価格帯に集まるときに出ます。互いに違う公式から出た目標値が近い価格に重なれば、その水準は複数の根拠が同時に指す強い目標です。これを値幅の一致と言います。単一の計算値一つは価格が止まりそうな近似値にすぎず、複数の値が重なった水準でこそ重みが乗ります。

たとえばNとVがほぼ同じ価格で出会えば、その価格帯は二つの公式が同時に指す、より堅い目標になります。価格がその水準に届けば一度止まる可能性が高いので、最初の利確とポジション縮小をそこに配置します。単一の値には小さな比重だけを掛け、複数の値が重なった水準に大きな比重を置きます。

値が重なる水準が強い目標になる
値が重なる水準が強い目標になるN・V・E・NTの四つの目標線を一つのチャートに一緒に引き、そのうち二つ以上が同じ価格帯に集まった水準を強い目標として示し、最初の利確・縮小の局面として取る様子を見せる図

値幅観測論は価格差だけを見て、需給や時点は問いません。だからこそ細田は、この目標値を時間論・波動論と必ず一緒に使えと強調しました。三つの理論はそれぞれ違う軸を担います。値幅観測論は「どこまで」という価格を、時間論は「いつ」という時点を、波動論は価格がひとつの波を完成させたかどうかを絞ります。値幅が指す価格帯と時間論の変化日が同じ時点に重なれば、その水準は価格と時点が同時に噛み合うので、反転の信頼度が一段上がります。6編で扱ったNの完成も同じ文脈です。値幅上のN計算値に価格が届くことと、波動上の最後の波が直前の極値を超えてNが完成することが重なれば、価格・時点・波形の三つの軸が一つの水準を指して流れが堅くなります。

外れたらABCを取り直す

四つの値をすべて引いても、価格がどの目標にも届かずに崩れることがあります。このとき細田の原則は明確です。目標値は予測です。あらかじめ決めておいた予想ではありません。

予想は一度決めた目標に相場を当てはめる考えです。予測は幅を前もって測っておきつつ、外れたらその場で論理を取り直す態度です。価格が目標を崩したなら、ABCを取った前提が誤りだったということです。だから、新しくできた高値・安値でABCを取り直してラベルを付け、四つの値を更新します。最初に引いた目標を抱えて相場が戻ってくるのを待ってはいけません。それは値幅観測論の使い方ではありません。

外れたらABCを取り直す
外れたらABCを取り直す最初に引いた目標値に届かず崩れたあと、新しい高値・安値でA・B・Cを取り直して目標値を更新する二つの段階を並べて見せる図

下落相場では四つの公式を上下に入れ替えて適用します。Aを出発の高値、Bを最初の安値、Cを反発の高値として取り、足し算を引き算に変えて下方の目標値を計算します。NはCから一次下落幅(A−B)を引き、Vは安値Bから反発幅(C−B)をもう一度引き、Eは安値Bから一次下落幅(A−B)を引いた深い目標になり、NTは二つの高値AとCの間の純下落幅(A−C)をCから引きます。トレンド性向の強い資産ほど、これらの目標値がよく当てはまります。