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市場構造 — BOSとCHoCHで読むトレンド
トレンドが続くかどうかは直近安値(HL)が決めます。直近高値のブレイク(BOS)はトレンド継続、直近安値の下抜け(CHoCH)は転換の最初のシグナルです。
> 上昇トレンドがいつまで続くかを決めるのは、直近安値(HL)です。新高値がどれだけ高くても、その安値が崩れた瞬間(CHoCH)が、転換の最初のシグナルになります。
前回までの記事では、サポート・レジスタンスと供給・需要ゾーンを見てきました。今回は、それらのゾーンをひとつの流れとして結びつける市場構造を見ていきます。市場構造とは、価格が作る高値と安値の連なりです。
上昇トレンドは、高値が切り上がり(Higher High)、安値も切り上がる(Higher Low)連なりです。下落トレンドはその逆で、高値が切り下がり、安値も切り下がる連なりです。トレンドが続いているということは、この連なりが維持されているという意味です。
多くの人は、新高値が出るとトレンドは強いと安心し、価格が少し下がるとトレンドが終わったのではないかと不安になります。しかし、新高値と短い調整だけでは、トレンドが維持されているのか、終わったのかは判断できません。
トレンドが続くかどうかを決めるラインは、直近安値です。上昇トレンドで価格が直近安値を守って再び上がるなら、トレンドはそのまま継続しています。その安値を終値で割り込んだときに、初めて転換のシグナルが出ます。

トレンドは高値と安値の連なりである
トレンドとは、複数の高値と安値が同じ方向へ積み上がっていく連なりです。1本のローソク足や1回の新高値だけでは、トレンドと呼ぶには足りません。だからトレンドを読むときは、価格がどこで反転したのかをつなぐスイング高値とスイング安値を見ます。1本のローソク足だけでは方向を判断しません。
上昇トレンドでは、買い手が直近高値に届く前に再び買いを入れるため、安値が切り上がります。その買い圧力が直近高値を上抜くと、高値も切り上がります。この2つが同時に起きている間、トレンドは継続中です。どちらか一方、特に安値の切り上げが止まったときから、トレンドを疑い始めます。高値だけが更新され、安値がついてこないなら、その上昇は勢いを失い始めているということです。
スイング高値・安値を客観的に決める
スイングを目分量で決めると、チャートを見た後で都合よく当てはめることになります。だから、スイングの定義は事前に固定しておく必要があります。よく使われる基準は、左右のローソク足の本数です。ある高値の左右に、それより低い高値が2、3本ずつあれば、そこをスイング高値と見ます。安値も同じ方法で決めます。
チャートをすべて見終わった後なら、どんな小さな安値でも「重要な安値だった」と選ぶことができます。しかし、それは結果を知った後の選択です。左右のローソク足の本数のような基準をあらかじめ決めておけば、リアルタイムでも同じ安値を同じ方法で見つけられます。
基準を固定すると、同じチャートを見ても人によって違う構造を描くことが少なくなります。スイングを決める左右の本数を増やせば大きな流れの構造が見え、減らせば小さな構造が見えます。自分の保有期間に合った本数を一度決めたら、一貫して使います。

BOSとCHoCHは、どの点を抜けるかで分かれる
価格が構造上のどの点を越えるかによって、シグナルの意味は正反対になります。
- BOS(Break of Structure): 上昇トレンドで、価格が直近のスイング高値を終値で上抜くことです。高値がさらに一段切り上がったため、トレンドがそのまま続いているという確認になります。
- CHoCH(Change of Character): 上昇トレンドで、価格が直近のスイング安値(HL)を終値で割り込むことです。安値が切り上がっていた流れが初めて途切れるため、トレンドの性質が変わり始めた最初のシグナルになります。
同じ下落でも、直近高値へ向かう途中で止まる調整はBOSへ向かう通常の過程です。一方、直近安値を終値で割り込む下落はCHoCHです。どの水準を抜けたのかを見なければ、その動きがトレンド内の調整なのか、トレンドが揺らぎ始めたサインなのかは区別できません。
下落トレンドでは、この関係が反転します。直近のスイング安値を終値で割り込めば、下落継続の確認(BOS)です。直近のスイング高値(LH)を終値で上抜けば、下落トレンドの最初の転換シグナル(CHoCH)です。どのトレンドでも、トレンド継続を示す点と転換を知らせる点は、互いに反対側にあります。
BOSでもCHoCHでも、基準は終値です。ヒゲで一瞬だけ直近安値を下回った場合と、終値でその下に引けた場合は別のシグナルです。終値で確定する前のブレイクは、そのままシグナルとは見なしません。
トレンドが終わる場所は安値が決める
2023年10月のBTCは、BOSの良い例です。夏の間、BTCの高値は31,800ドル付近で抑えられていました。その後、10月23〜24日に価格がその高値を終値で上抜き、35,000ドルまで上昇しました。直近の構造上の高値を超えたこのBOSによって、新しい上昇トレンドの始まりが確認され、その後BTCは高値と安値を順に切り上げながら、2024年3月に73,777ドルまで上昇しました。
CHoCHは、その逆の局面で現れます。2021年11月、BTCは69,000ドルで史上最高値をつけました。その直前まで、安値は57,800ドル付近で切り上がっていました。ところが最高値の後、価格はより低い高値(66,400ドル)を作り、11月末にその57,800ドルの安値を終値で割り込みました。
このCHoCHが、上昇トレンドの終わりを初めて知らせたシグナルでした。その後BTCは、2022年1月に32,900ドルまで安値と高値を順に切り下げ、下落トレンドへ入りました。
この区別が実戦で役に立つ理由は明確です。上昇トレンドでロングを保有しているなら、直近安値が守られている限り保有し、その安値を終値で割り込むCHoCHで手仕舞います。無効化ポイントをトレンド構造そのものが示してくれるため、前の記事で見た損切り位置ともそのままつながります。
CHoCHは転換の最初のシグナルにすぎない
CHoCHを1つ見ただけで、すぐに反対方向へエントリーしてはいけません。CHoCHは、トレンドが変わる可能性があるという最初の警告であり、転換が確定したわけではありません。安値を一度割り込んだ後、価格がすぐに回復して再び高値を切り上げるなら、その割り込みは一時的な揺さぶりで終わります。CHoCHのたびに即座にポジションを反転させると、通常の押し目でトレンド方向のポジションを毎回失い、逆方向に入ってまた損切りすることを繰り返すことになります。
転換が確定するには、CHoCHの後に新しい方向の構造が続く必要があります。上昇から下落へ転じるケースなら、安値を割り込んだ後により低い高値を作り、その次の安値も切り下げて初めて、下落トレンドとして確立されます。CHoCHはより注意深く監視せよというシグナルであり、実際のエントリーはその後の構造を確認してからです。
タイムフレームごとに構造は異なる
小さなタイムフレームのCHoCHが、大きなタイムフレームでは通常の調整にすぎないことはよくあります。週足が上昇トレンドなのに5分足で安値を1つ割り込んだ場合、それは週足の上昇トレンド内の小さな押し目である可能性が高いです。
たとえば日足が上昇トレンドなら、4時間足のCHoCHは多くの場合、トレンド内の押し目であり、むしろより良い買い場を探す出発点になることもあります。小さなタイムフレームの転換シグナルは、大きなタイムフレームの方向に照らして読んでこそ意味が明確になります。
だから構造は常に2段階で見ます。大きなタイムフレームでトレンドの方向を決め、小さなタイムフレームでエントリー位置を絞り込みます。大きな流れと同じ方向のBOSにはついていき、大きな流れに逆らう小さなCHoCHはエントリーシグナルとして使いません。2つのタイムフレームの構造が同じ方向を示すとき、最も根拠の強いポイントが見えてきます。

構造に沿ってエントリーする
構造を使ったトレードの基本は、大きな流れと同じ方向で、直近安値を守った押し目からのBOSについていくことです。
- [ ] エントリー条件: 週足が上昇トレンド(高値と安値がともに切り上がっている状態)です。日足で価格が直近安値(HL)を守りながら押し目を作った後、直近高値を終値でブレイクします(BOS)。
- [ ] エントリー: ブレイクしたローソク足の終値、またはその直後に直近高値付近へ戻ってくるところで買います。
- [ ] 損切り: その押し目の安値(HL)から1 ATR下に置きます。
- [ ] 無効化: 価格がその安値を終値で割り込んだら(CHoCH)、トレンドが揺らいだと見て手仕舞います。

構造を読む作業は、最終的にひとつの問いに絞られます。いま安値は切り上がっているのか、切り下がっているのか。その判断軸が明確になれば、新高値に浮かれたり、短い調整に怯えたりすることは少なくなります。