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需給ゾーン — 離れたときの勢いが強さを決める
需給ゾーンの強さは、価格がそこにどれだけ長く滞在したかでは決まりません。そこを離れるときの勢いで決まり、鮮度の高いゾーンだけを選んで最初の押し目でエントリーします。
> 需給ゾーンの強さは、その場所を離れるときの勢いで決まります。価格がそこに*どれだけ長くいたか*は強さに関係ありません。ゾーンは最初に触れたときが最も強く機能します。
前回のサポート・レジスタンスの記事では、価格が止まる場所には未約定注文が積み上がっていることを見ました。需給ゾーンは、その中でもさらに対象を絞ったものです。強いトレンドが始まった出発点です。
需要ゾーンとは、価格が狭いレンジで横ばいになったあと、上方向へ急伸して抜けた、その横ばいの場所です。そこで大きな買いが入り、価格を押し上げました。そして約定しきれなかった買い注文が、その場所に残っています。供給ゾーンはその反対です。価格が下方向へ急落して抜けた横ばいの場所で、そこには未約定の売り注文が残ります。
多くの人は、チャート上のあらゆるレンジを需要・供給ゾーンとして描きます。しかし、ほとんどの横ばいは単なる横ばいにすぎません。ゾーンと呼ぶには、ひとつ条件があります。価格がその場所を離れるとき、一方向へ強く抜けていなければなりません。離れる勢いが弱いなら、残った注文も少ないということです。その場所に価格が戻ってきても、支え切る力はありません。

ゾーンの強さは離れたときの勢いで決まる
強く離れたということは、その短い時間の中で買いが売りを圧倒したということです。それだけ多くの未約定の買い注文がその場所に残り、価格が再びそのゾーンへ戻ってくると、そこに積み上がっていた買い注文が再び価格を押し上げます。
なぜその場所に未約定注文が残るのかは、板を見ると分かります。価格が爆発的に上がるとき、買い手は上に並んでいる売り気配を素早く買い上げます。そのスピードが速いほど、その価格帯に置かれていた買い指値注文は約定する機会を得られません。ゆっくり上がるときは両側の注文が落ち着いて約定しながら通過しますが、爆発的に動くときは片側の注文だけが消化され、反対側の注文がそのまま残ります。
2023年10月のBTCは良い例です。10月初旬の2週間、BTCは26,500〜28,100ドルの狭いレンジで横ばいでした。そして10月23日だけで29,992ドルから33,070ドルへ10%超上昇し、日中高値は34,742ドルまで到達しました。
このように強く離れた場所が、厚い需要ゾーンです。もし価格が小さなローソク足でゆっくり抜けていたなら、そこに残る注文は少なく、価格が戻ってきても支える力は弱かったはずです。離れるローソク足が大きいほど、その場所に多くの注文が残ったと見られます。
出来高で離れたときの勢いを確認する
離れたときの勢いが強かったかどうかは、ローソク足の大きさだけでは判断しにくいものです。出来高をあわせて見ると分かります。ゾーンを離れるローソク足の出来高が横ばい期間より大きく増えていれば、その値動きには実際の売買量が乗っていたということです。その場所に残る未約定注文も、それだけ厚くなります。
先ほどのBTCの例では、横ばいだった10月中旬の1日あたり出来高と比べて、ゾーンを離れた10月16日と23〜24日のローソク足の出来高は5倍を超えていました。ローソク足の大きさと出来高が同時に大きくなるとき、その場所に残る注文は最も厚くなります。
反対に、出来高が平凡なまま価格だけが長く伸びたローソク足は、薄い板を抜けただけの結果かもしれません。こうしたローソク足が作った場所は、価格が戻ってきても支えにならないことが多くあります。
出発ゾーンをどう見つけるか
出発ゾーンは、強いトレンドが始まる直前にあった最後の横ばいです。チャート上で一目で目立つ大きなトレンド足を先に探し、そのローソク足の直前にある狭い横ばいをマーキングします。それがゾーンです。
上昇はよく「横ばい - 上昇 - 横ばい - 上昇」を繰り返しながら進みます。それぞれの横ばいが需要ゾーンです。下落はその反対に「横ばい - 下落 - 横ばい - 下落」を繰り返して下がり、それぞれの横ばいが供給ゾーンになります。

この繰り返しの流れは、どの時間軸でも同じ原理で現れます。週足で見た大きな流れの中に日足の小さな流れがあり、エントリー位置を絞るときは下位足のゾーンを、大きな方向を決めるときは上位足のゾーンを見ます。
先ほどのBTCの例では、出発ゾーンは爆発的な上昇の直前にあった2週間の26,500〜28,100ドルの横ばいです。大きく上昇したローソク足に目を奪われますが、マーキングすべき場所は、そのローソク足を生み出した直前の狭い横ばいです。
ゾーンの上下の境界は、その横ばいのローソク足の実体とヒゲを使って引きます。広く取りすぎるとどこにでも触れてしまい、狭く取りすぎると見逃します。横ばいのローソク足が集まっている実体の範囲を基準にし、ヒゲまで少し余裕を持たせます。
最初に触れたときが最も強い
ゾーンは最初に触れたときが最も強く、触れるたびに弱くなります。価格がゾーンへ戻るたびに、そこに積み上がっていた未約定注文が少しずつ約定して消えていくからです。
2024年のBTCの60,000ドルゾーンは、この過程をよく示しています。3月から5月にかけて、BTCはこのゾーンへ何度も下落し、そのたびに60,775ドル、60,661ドル、59,600ドル、60,187ドル付近で反発しました。反発が繰り返されるほど、その場所に残っていた買い注文は減っていきました。
そして6月末、価格が再びそのゾーンへ下りてきたときには、支えになる注文はほとんど残っていませんでした。7月初旬、BTCは53,486ドルまでそのまま崩れました。同じゾーンでも、4〜5回触れたあとは消耗したと見るべきです。
押し目が早いほど、ゾーンの鮮度は高くなります。価格が離れた直後の数日以内に戻ってくれば注文はほぼそのまま残っていますが、数カ月後に戻ってくる場合は、その間に別の売買がその場所を通過し、効力が薄れています。エントリー価値が最も高いのは、最初に、そして早く触れる新鮮なゾーンです。

供給ゾーンは需要ゾーンを上下反転したもの
需要ゾーンと供給ゾーンは、同じ原理を上下に反転したものです。需要ゾーンは価格の下で買いを支える場所なので、上昇トレンドでの買いエントリーに使います。供給ゾーンは価格の上で売りが出てくる場所なので、下落トレンドでの売りエントリーに使います。供給ゾーンをイメージするなら、価格が狭く横ばいになったあと、大きな陰線で崩れた場所を考えるとよいでしょう。その横ばいの場所に売り注文が残り、価格がそこへ反発して戻ってくると、再び売りが出てきます。
重要なのは、大きな流れと同じ方向のゾーンだけを使うことです。週足が上昇トレンドなら日足の需要ゾーンで買いだけを見て、週足が下落トレンドなら日足の供給ゾーンで売りだけを見ます。大きな流れに逆らうゾーンは、そのまま抜けられて損切りにつながることがよくあります。たとえ一時的に反発しても、その反発は大きな流れに再び押され、短く終わる場合が多いです。
ゾーンには強いブレイクが必要だ
最もよくあるミスは、チャート上のすべての横ばいをゾーンとしてマーキングすることです。横ばいがゾーンになるには、そこから強く離れた痕跡が必要です。離れるローソク足が小さく、出来高も平凡だったなら、その横ばいは単なる横ばいです。残った注文はほとんどなく、価格が戻ってきても支えられません。
ゾーンを多く描きすぎると、チャートが陰影のボックスだらけになり、価格がどこで止まるのか、かえって判断しづらくなります。マーキングが多いほど、そのうちどれかには触れるため、あとから振り返るといつも当たっていたように見える錯覚も生まれます。ゾーンは少なく、強いものだけに絞るほど使いやすくなります。
ゾーンをマーキングする前に、次の3つを確認します。
- [ ] 離れたときの勢い: ゾーンを離れるローソク足が大きく、出来高が通常より多かった。
- [ ] 鮮度: まだ触れていない、または一度だけ触れたゾーンである。
- [ ] 方向: 大きな流れと同じ方向のゾーンである。
3つすべてを満たすゾーンだけに絞ると、チャートに残る場所は多くありません。その数少ない場所こそ、実際に価格を反転させる場所です。
新鮮なゾーンの最初の押し目で入る
ゾーン取引の核心は、新鮮なゾーンへの最初の押し目を、大きな流れの方向に取ることです。そこに終値確認と出来高を加えることで、だましの反応を除外します。
- [ ] エントリー条件: 週足が上昇トレンドの状態で、日足で価格が狭いベースを強い陽線で離れてできた新鮮な需要ゾーンがあり、価格がそのゾーンへ初めて押し目を作って戻ってくる。
- [ ] エントリー: ゾーン上限に触れたあと、長い下ヒゲを付けた陽線が出たら、そのローソク足の終値で買う。同じローソク足の出来高が直近20本平均以上である。
- [ ] 損切り: ゾーン下限から1 ATR下に置く。
- [ ] 無効化: 日足の終値がゾーン下限を下回って引けたら、ゾーンは消耗したと見て手仕舞う。

ゾーンをたくさん描くことは役に立ちません。離れたときの勢いが弱いゾーンや、すでに何度も触れたゾーンを消していくと、チャートに残る場所は明確になります。その場所で価格が最初に見せる反応が、エントリーのシグナルです。