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サポート・レジスタンス — 注文が積み上がるゾーンとして読む

サポート・レジスタンスは、未約定注文と含み損を抱えたトレーダーが集まるゾーンです。一本の線ではなくゾーンとして捉えれば、一度のブレイクに振り回されにくくなります。

サポート・レジスタンスの標準的な定義は、価格が繰り返し止まった場所です。教科書では、2回以上触れた高値や安値を水平線で結びます。ただしこの定義だけでは、なぜ価格がそこで止まるのかまでは説明できません。市場が特定の数字を覚えているわけではありません。その価格帯に積み上がった未約定注文が、価格を止めているのです。

多くの人は、サポート・レジスタンスを一本の線として扱います。チャートに水平線を引き、その価格で反発やブレイクを待ちます。そのため、価格が線を少し越えてから戻ると「サポートが崩れた」と誤解し、線に少し届かずに反発すると「自分の線の引き方が間違っていた」と考えてしまいます。

サポート・レジスタンスは未約定注文が積み上がったゾーンです。そのゾーンがそこに形成される理由が注文フローにあると理解すれば、価格が一度ゾーンに差し込んだだけでサポートが崩れたと判断しなくなります。

サポート・レジスタンスを注文が積み上がるゾーンとして捉える視点

価格はゾーンで止まる

2023年4月から7月にかけて、BTCは30,000ドル台で4カ月にわたり何度も上値を抑えられました。ただし、止められた価格は毎回同じではありませんでした。4月第2週の高値は31,000ドル、6月第3週は31,432ドル、7月第1週は31,500ドル、7月第2週は31,804ドルでした。

30,000に水平線を一本引き、そこで正確な反発を待っていた人は毎回数百ドル単位で外れ、31,000に線を引いていた人は31,800まで差し込む動きで損切りにかかったはずです。

この4つの高値を30,000〜32,000ドルのゾーンとしてまとめると、見え方は一貫します。価格がそのゾーンに入ると売りが出るという事実は毎回同じで、正確な数字だけが少しずつ違っていたにすぎません。サポート・レジスタンスをゾーンとして見れば、「ぴったり合わない」という苛立ちは消え、ゾーン内で価格がどう反応するかに集中できるようになります。

そのゾーンは未約定注文が作る

価格が特定のゾーンで止まるのは、そこに未約定注文が積み上がっているからです。ある価格帯がサポートになるには、その価格に買い注文が集まっている必要があります。その注文は、主に3種類の参加者によって生まれます。

  • その価格で買い逃した買い手: 前回その場所で買えず、価格が上がっていくのを見ていた人は、価格が再び下がってきたら今度こそ買おうとして、そのゾーンに買い注文を置きます。
  • その価格ですでに買った買い手: そのゾーンで買った人は、価格が再び下がってくると「建値付近」と考え、追加で買います。
  • アルゴリズムと機関投資家: 取引が多く集まった価格帯を基準に分割買い注文を入れる参加者が、そのゾーンを厚くします。

これらの注文は一定の幅を持って分散して積み上がります。一点に集中することはありません。そのため、サポートは幅のあるゾーンとして現れます。そして注文が厚いほどそのゾーンは強く、薄いほど抜けられやすくなります。サポート・レジスタンスの強さは、価格がそこに触れた回数だけで決まるわけではありません。そのゾーンにどれだけ多くの注文が積み上がっているかが、強さを決めます。

含み損を抱えたトレーダーが次のレジスタンスを作る

レジスタンスは、その上で含み損を抱えた人たちによって作られます。ある価格帯で買ったあと価格が下落し、損失を抱えた買い手は、価格がその場所まで戻ると建値で売って抜けようとします。この建値売りが、その価格帯を天井にします。同じゾーンで捕まっている人が多いほど、価格がそこへ戻ったときに出てくる建値売りは厚くなり、レジスタンスは強くなります。

そのため、大きな出来高を伴って急騰したあと下落したゾーンの上側は、強いレジスタンスになりやすいです。そのゾーンで多くの人が買い、価格が下がったあと、彼らが建値への戻りを待っているからです。チャートでレジスタンスを探すときは、過去の高値だけでなく、どこで多くの人が捕まっているのかも合わせて見ると、より正確なゾーンが見えてきます。

大商いの急騰で含み損を抱えた買い手の建値売りが上値抵抗を形成する

レジスタンスとサポートは入れ替わる

あるゾーンの注文がすべて消化され、価格がそのゾーンを通過すると、そのゾーンの役割は入れ替わります。レジスタンスだったゾーンがサポートになり、サポートだったゾーンがレジスタンスになります。

2023年2月、BTCは25,250ドルで2回上値を抑えられました。第2週と第3週の高値はいずれも25,250ドルで、ここが当時の天井でした。その後BTCは19,000ドル台まで下落してから31,000ドルまで上昇し、8月に再び30,000ドルのゾーンを割り込んで下落しました。

ところが今度は、25,000〜26,000ドルのゾーンが底になりました。8月と9月の週足安値は25,166、25,300、25,334、25,373ドルで、半年前に天井だった場所が、今度は底として機能したのです。

役割が入れ替わる理由も注文フローにあります。25,250ドルで捕まり、建値売りを狙っていた人たちは、価格がその下へ落ちている間にすでに損切りしたか、諦めています。その売り圧力が消えたあと、同じ価格帯は「以前の天井だった場所だから、ここでは支えられるはずだ」と考える買い手の注文が積み上がる場所になります。天井を作っていた注文が、底を作る注文へと入れ替わったのです。

注文が消化され、レジスタンスだったゾーンがサポートへ役割転換する流れ

強いゾーンを見分けるもの — 根拠の重なりと出来高

すべてのサポート・レジスタンスが同じ重みを持つわけではありません。複数の根拠が同じゾーンで重なると、そのゾーンは強くなります。

  • 上位タイムフレーム: 日足のサポートより、週足のサポートのほうが強くなります。より多くの参加者がそのゾーンを見ているからです。
  • 出来高の集中帯: 出来高プロファイルで出来高が集中した価格帯と重なるサポートは厚くなります。
  • ラウンドナンバー: 30,000、50,000、70,000のような心理的な価格帯の近くには注文が集まります。
  • レジサポ転換: 過去にレジスタンスだった場所がサポートになったゾーンは、買いと売りの双方の注文が通過した場所であり、重みがあります。

こうした根拠が2つ、3つ重なるゾーンは、根拠が1つだけのゾーンより強くなります。その強いゾーンで価格が終値ベースで反応することを確認してから、エントリーします。

  • [ ] エントリー条件: BTCの日足が、週足サポート(58,000〜60,000ドル)と出来高が集中した価格帯が重なるゾーンへ押し目(Pullback)を作ったあと、そのゾーン内で長い下ヒゲを付けた陽線となり、終値で60,000ドルを上回って引けます。同じ足の出来高は、直近20本平均以上です。
  • [ ] エントリー: その足の終値で買います。
  • [ ] 損切り: ゾーン下限(58,000ドル)から1 ATR下に置きます。
  • [ ] 無効化: 日足終値が58,000ドルを下回って引けた場合、そのゾーンは崩れたと見て手仕舞います。

一度のブレイクで崩れたとは見ない

サポートゾーンが本当に崩れたかどうかは、価格がそのゾーンを一度突き抜けたかどうかでは判断しません。終値がその下で引け、さらにそこで定着するかで判断します。ゾーンのすぐ下には損切り注文が積み上がっており、その損切りを狙った一時的なブレイクはよく起きるからです。

2024年8月5日、BTCは日中に49,000ドルまで下落したあと、その日を54,018ドルで引けました。50,000ドル付近に積み上がっていた損切りを一気に巻き込む長い下ヒゲであり、終値はそこから5,000ドル上でした。3日後、BTCは62,745ドルまで回復しました。49,000というヒゲ先の価格だけを見てサポートが崩れたと判断した人は、終値ベースではそのゾーンが守られていたという事実を見落としたことになります。

本物のブレイクと一時的なブレイクを分ける基準は2つあります。1つ目は終値です。ヒゲで一瞬突き抜けたことと、終値がその下で引けたことは、まったく別のシグナルです。2つ目は出来高です。出来高が普段どおりのブレイクは損切り狙いの動きである可能性が高く、出来高が大きく増えながら終値がゾーンの下で引けた場合、そのゾーンは実際に崩れたと考えられます。

ゾーンが出来高を伴って終値で崩れたあとは、そのゾーンは今度はレジスタンスに変わります。崩れたサポートまで価格が戻り、その下で上値を抑えられる場面は、新たに売りで入る、あるいは残った買いを整理するのに適したポイントです。一度のブレイクだけで急がず、この戻りでの上値の重さを待てば、ダマシに巻き込まれる確率を下げられます。

ヒゲでの一時的な損切り狩りと、出来高を伴う終値ブレイクを見分ける基準

サポート・レジスタンスをゾーンと注文フローとして見れば、線の正確な位置に悩む時間は少なくなります。その代わりに、どこに注文が積み上がっているのか、誰がその場所で捕まっているのか、価格がそのゾーンでどう反応するのかを見るようになります。線はあくまで道具にすぎません。実際に価格を動かしているのは、その背後にある注文フローです。