OptiNod アカデミー

Volume Profile — Composite Profileと時間軸の合成(第2回)

日次・週次・月次のPOCが同じ位置に集まるなら本当の合意ゾーン。別々の位置にあるなら、合意そのものが移動している途中です。

> Composite Profileが示すのは、取引が集中した価格帯が時間の経過とともにどこへ移っていったかです。最も重要な情報はその移動にあり、厚いサポート帯の位置はその後に見えてきます。

前回では、単一セッションのVolume ProfileにおけるPOC、Value Area(VAH/VAL)、HVN/LVNの意味を整理しました。単一セッションが「今日一日、取引がどこに集中したか」を描くツールだとすれば、Composite Profile(合成プロファイル)は複数のセッションをまとめ、より大きな範囲の取引分布を描くツールです。Anchored Volume Profile(AVP)は特定のイベントを基準点にして、その後の出来高だけを積み上げる方法です。Range Profileはユーザーが指定した区間の出来高を、Session Profileは取引セッションごとの出来高を表示します。

一般的な解釈は単純です。「期間を長く合成すれば、より正確な支持・抵抗が見える」という考え方です。6カ月のComposite Profileを表示し、最も厚いバーを大きな支持帯として扱う使い方はよくあります。しかし、この使い方ではComposite Profileの本質を十分に活かせません。6カ月を丸ごと合成して平均だけを見ると、その間に取引が集中した価格帯がどこへ移動したのかが消えてしまうからです。6カ月平均のPOCが100ドルでも、最初の2カ月のPOCは92ドル、最後の2カ月のPOCは108ドルだったかもしれません。平均だけを見ると、市場がすでに離れた価格帯を支持帯と見なしてしまいます。

Composite Profileの本当の使い道は、異なる期間の合成を重ね、取引が集中した価格帯が同じ位置にとどまっているのか、それとも移動している途中なのかを読むことにあります。日次POCと週次POCが同じ価格に集まるなら、そこは本物の出来高集中帯です。反対に、日次POCが毎週上へ切り上がっている一方で、月次POCがかなり下に残ったままなら、取引が集中する価格帯が上へ移動しているという意味です。そして、その方向こそが売買で最も重要な情報になります。

日次・週次・月次POCを重ね、出来高集中帯の移動を読む層構造

日次・週次・月次POCがつくる層

Composite Profileで最初に見るべきなのは、時間軸ごとのPOCが一カ所に集まっているか、分散しているかです。日次・週次・月次のPOCが±0.5%以内に集まっているなら、その価格帯は短期、スイング、ポジションの各トレーダーが共通して認識している出来高集中帯です。価格がそこに到達すると、すべての時間軸で取引が活発になります。

むしろ、POCが分散しているときのほうが大きな情報を与えてくれます。日次POCが105、週次POCが100、月次POCが92というように短い時間軸ほど高い位置にあるなら、短期資金は上へ動いたものの、より大きな資金はまだ下側の出来高集中帯に残っているという意味です。この層構造が数日続くと、日次POCが週次POCに近づく形の調整がよく起こります。そのため、日次POCと週次POCが1.5〜2%以上離れている価格帯では、追いかけ買いに注意が必要です。

NVDAは2024年11月第1週、日次・週次・月次POCがすべて138〜140ドルのエリアに集まっていました。その後4週間で価格は145ドルまで上昇し、日次POCは144、週次POCは142へ移動しましたが、月次POCは139に残ったままでした。12月第2週に価格が138ドルまで下げた地点は、3つの時間軸のPOCが再び一カ所に集まる場所であり、そこから次のトレンドが始まりました。時間軸ごとのPOCが再び収束する場所は、単なるサポート割れよりも、エントリー地点の重みを正確に教えてくれます。

Value Migration — 取引集中帯が移動する痕跡

Value Migrationは、日々のValue Areaが日付順にどこへ動いているかを追跡する分析です。大きく3つに分けられます。

  • Migrating Value: 今日のVALが昨日のVALより高く、VAHも昨日のVAHより高い状態が5取引日以上続くケースです。取引が集中する価格帯が上へ移動している明確なサインであり、単に価格だけが上がる場合よりもトレンドは強固です。価格は1本、2本の足の変動でも上がりますが、Value Areaそのものが毎日一段ずつ上がるには、その価格帯で十分な出来高が毎日新たに積み上がる必要があるためです。
  • Overlapping Value: 今日のValue Areaが昨日のValue Areaと70%以上重なっている状態です。価格が上下しても、取引が集中するゾーンは同じ場所にとどまっているレンジ相場のサインです。この局面では、Value Areaの端から平均へ戻る動きを狙う売買で対応します。
  • Value Gap: 今日のValue Areaが昨日のValue Areaとまったく重ならないケースです。取引が集中した価格帯が一気にジャンプしたという意味で、2つのValue Areaの間には取引がほとんど積み上がっていない空白ノード(LVN)が残ります(時間単位で見るTPOでは、同じ場所がSingle Printとして現れることもあります)。強いモメンタムのサインですが、その空白エリアが戻りを引き寄せる場所として働き、リトレースメントが速く深く入る可能性も同時にあります。
Value Migrationの3類型: 階段状の上昇、レンジ重複、空白を伴うジャンプ

SOLは2024年11月4日から22日まで、日次Value Areaが毎日一段ずつ上へ移動するMigrating Valueの流れを18取引日にわたって維持しました。価格は175ドルから245ドルへ上昇しましたが、より重要なのはValue Areaそのものが価格と並行して毎日切り上がっていた点です。11月23日からOverlapping Valueへ変わったことが、トレンドがレンジに入る最初のサインであり、価格が245〜260ドルのレンジに入ったのはその後でした。

Value Areaが毎日一段ずつ切り上がるMigrating Valueの流れ

Anchored Profile — 意味のあるイベントを基準点にする

Anchored Volume Profile(AVP)は、ユーザーが指定した特定のイベント(決算発表、新高値、FOMC発表など)を基準点にし、その後の出来高だけを積み上げる方法です。任意の期間を合成する標準的なComposite Profileとは異なり、市場参加者全員が同じイベントとして記憶している時点から出来高を積み上げ始めます。

最もよく使われるのは、決算後のAVPです。四半期決算発表直後の足を基準点にすると、市場がその決算結果をどう受け止めているかがAVPのPOCに表れます。AVP POCが時間の経過とともに決算直後の価格より上へ移動するなら、市場がその決算を想定以上に好意的に評価し、その評価に沿って取引が積み上がっているという意味です。

TSLAは2024年10月24日の決算後、日足が21%のギャップアップとなり、260ドルで引けました。その足を基準点にAVPを引くと、その後4週間でAVP POCは260ドルから始まり、ゆっくりと265、268、272ドルへ上がっていく形になりました。価格が一時250ドルまで下げた日でも、AVP POCは上昇を続けていました。決算に対する評価が時間とともにより高い価格帯で固まっている証拠であり、11月第2週から320ドルまで続いたトレンドは、AVP POCの上昇が価格に先立って示していた結果でした。

> NVDAの日足における決算足(2026年2月18日、終値142ドル)をAVPの基準点に設定します。

> 決算後5取引日のあいだ、AVP POCは142〜144ドルのエリアで形成されます。

> その後、価格は138ドルまで調整しましたが、AVP POCは145ドルまで上がった状態です。

> 価格が再びAVP POC(145ドル)を上回って終値を回復する足の終値で買いエントリーします。

> 損切りは決算足の終値(142ドル)を下回る位置に設定します。

> エントリー後5取引日以内にAVP POCがエントリー価格を下回るなら、取引集中帯が上へ移動しきれなかったと判断し、手仕舞います。

Range ProfileとSession Profileは別の問いに答える

Range ProfileとSession Profileはいずれも合成プロファイルですが、見ている問いが異なります。Session Profileは取引セッション(株式の通常取引時間9:30〜16:00、暗号資産はUTC 0時基準の24時間)を1単位ずつ分け、昨日と今日の取引集中帯を比較します。昨日のValue Area、POC、VAH、VALが今日の値動きを見る基準点になり、次回で扱うOpen Typeの分類は、まさにこのツールを使う方法です。

一方、Range Profileはユーザーが直接指定した2つの時点の間における出来高分布を描きます。レンジ相場の開始足から現在まで、あるいはトレンドの開始点から終了点までというように、その区間の意味は分析する側が決めます。レンジ相場の1サイクルをRange Profileで描くと、そのレンジ内で取引が厚く積み上がった場所(HVN)と、薄く空いている場所(LVN)が1枚のチャートに表示されます。

ETHが2025年1月から3月まで3,200〜3,800ドルのレンジで9週間推移したとき、Session Profileでは取引集中帯が毎日どのように少しずつ移動しているかを見ました。一方、Range Profile(1月第1週〜3月最終週全体)では、レンジ9週間全体の分布を1枚のチャートに描きました。Range ProfileのPOCは3,520ドルで、HVNは3,400と3,650の2カ所に形成されました。レンジ取引では、Session Profileの昨日のValue Areaの端でエントリーし、Range ProfileのHVNで利確するという形で、2つのツールを併用します。両者が与える情報はそれぞれ別の中身を持ち、積み重なって効くからです。

HTF POCとLTF POCが同じ場所を指すとき

HTF(週足・日足)POCとLTF(4時間足・1時間足)POCが同じ価格に集まる場所は、エントリー根拠の重みが最も大きくなる場所です。HTF POCは大きな資金が取引を積み上げた場所、LTF POCは短期資金が取引を積み上げた場所です。2つの時間軸が同じ価格を指すなら、規模の異なる参加者がそろってその場所を出来高集中帯として認識しているという意味です。

価格が2つのPOCが重なるエリアに到達すると、両方の時間軸で取引が活発になり、反転やブレイクが起こる確率は、1つの時間軸のPOCだけを見る場合よりも明らかに高くなります。反対に、2つの時間軸のPOCが大きく離れている場合、その間の空白エリアはLVNのように機能し、値動きは素早く通過しやすくなります。そのため、その空白エリアでエントリーすると価格が止まらず、一方のPOCまで進んでしまい、損切り幅が大きくなります。

BTCは2025年3月第1週、日足POCが83,000ドル、同時点の4時間足Composite POC(直近5日間)が83,200ドルで、±0.3%以内に集まっていました。3月5日に価格が81,800ドルまで下げたあと、83,000〜83,200ドルのエリアへ戻る足がエントリーシグナルとなり、そこから次の2週間で91,000ドルまで上昇しました。2つの時間軸のPOCが同じ場所に集まると、エントリー根拠の重みは掛け算で大きくなります。これがComposite Profileを最も堅実に使う方法です。

Composite Profileがシグナルを失う場所

  • 合成期間が短すぎるとき: 5取引日未満の合成は、単一セッションのノイズとほとんど区別できません。合成POCが統計的な意味を持つには、少なくとも10〜15取引日の積み上げが必要です。
  • 大きなニュース直後の数日間: FOMC、決算サプライズ、マクロイベントの直後数日は、出来高が通常の2〜5倍になることがよくあります。この異常な出来高が積み上がると、その数日間が全体の形を歪めます。この場合は、ニュース発表日を基準点にAVPを新たに引くか、発表前と発表後の合成を分けて見ます。
  • トレンドが非常に強いとき: 価格帯が毎日速く移動するため、Composite Profileは広く平坦な形になります。この局面では合成POCそのものよりも、Value Migrationの方向と速度を中心に見ます。強いトレンドでは、合成POCは常に価格の後ろにあります。

合成シグナルの重みを高める2つの条件

1つ目は、主要な価格帯と重なる場所です。合成POCが直近の月間安値から±1%以内にある場合や、心理的なラウンドナンバー(100、1000、10000)と重なる場合、市場参加者の記憶もそこに重なり、出来高集中帯は一段厚くなります。

2つ目は、Open Typeとあわせて見ることです。昨日のValue Areaに対する今日の始値の4分類(次回で扱います)が、合成POCが集まっている方向と同じ側を指すなら、エントリー根拠の重みは掛け算で大きくなります。つまり、HTF POCが上側の出来高集中帯を指し、今日の始値が昨日のValue Areaの上でギャップアップして始まるなら、2つのシグナルが同じ方向を確認している場所になります。

HTF POCとLTF POCが同一価格に集まる、エントリー根拠が最も重い場所