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エリオット波動 基本編1 - エリオット波動とは何か
エリオット波動を「5波の推進」と「3波の調整」が繰り返される構造として理解し、チャート上でまず切り分ける基準をつかみます。
> エリオット波動は、トレンドが進む局面と、いったん休む局面を切り分けて見るためのフレームワークです。チャートに見栄えよく番号を振る道具として使うと、本来の役割を見失います。
エリオット波動を学び始めるとき、最初に押さえるべき概念は*5波の推進*と*3波の調整*です。価格が一方向に動くときは、一般に5つの値動きでトレンドが形成され、その後に3つの値動きでその一部を戻す、という考え方です。
上昇相場では、1・3・5波が上方向へ進む波です。2・4波はその間に入る押し目(Pullback)で、上昇が終わった後にはA・B・Cの調整が続くことがあります。下落相場では、方向を逆にして考えます。1・3・5波が下方向へ進み、2・4波は戻り、そしてその後のABCは上方向へ戻す調整局面になります。
ここでまず見極めるべきは、いまの価格がトレンド方向へ進んでいるのか、それとも直前の値動きを戻しているのかです。波の名前そのものはその次の話です。この区別ができないと、3波を調整と誤認したり、B波の戻りを新しい上昇の始まりと勘違いしやすくなります。

波はまず役割で分けます
エリオット波動でよくある誤解は、上昇ならすべて良い波、下落ならすべて悪い波のように捉えてしまうことです。上昇相場でも2波と4波は下落しますし、下落相場でも2波と4波は反発します。方向だけを見ると混乱しますが、それぞれの波が担う役割で見ると、構造はずっとシンプルになります。
推進波には、それぞれ異なる役割があります。
- 1波: 新しい値動きが始まった可能性を示す最初のスイングです。
- 2波: その最初の値動きが否定されないかを確認する戻しです。
- 3波: 市場がその方向を受け入れたときに現れる、最も強い局面です。
- 4波: 強い値動きの後の休止です。
- 5波: 最後にもう一度進む局面です。
ABCは、直前の5波を一部戻す局面です。
- A波: これまでのトレンドが初めて崩れる値動きです。
- B波: A波の動きをいったん戻す反発、または押し目です。
- C波: 調整がもう一段進む局面です。
そのため、B波だけを見て調整が終わったと決めつけると、判断を誤りやすくなります。

1つの5波の中にも、小さな5波が入ることがあります
エリオット波動は、複数の時間軸で繰り返されます。日足で3波に見える大きな上昇の中にも、1時間足では小さな1・2・3・4・5波が含まれていることがあります。この性質があるため、チャートのどこにでも番号を付けられる一方で、その分だけ混乱も起きやすくなります。
初心者の段階では、すべての時間軸の波を同時に数えようとしないほうがよいでしょう。まず大きな時間軸で、いまがトレンドの推進局面なのか調整局面なのかを分けてください。そのうえで、小さな時間軸はエントリーのタイミングを取るための補助として使います。
たとえば、日足が上昇3波の候補であれば、15分足の小さな5波下落は、大きなトレンドの中の押し目かもしれません。反対に、日足が5波の出尽くし候補であれば、同じ15分足の下落でも、手仕舞いのシグナルとしてより重要になります。波は、規模と位置をあわせて確認してください。

エリオット波動は無効化基準で管理します
エリオット波動をトレードに活用するなら、「正しければどこまで行くか」を考える前に、「間違っていたらどこで撤回するか」を先に決めておく必要があります。波動カウントはリアルタイムで変わり続けるからです。過去チャートでは正解のように見えても、実際のトレード中には次のローソク足1本でシナリオが覆ることがあります。
無効化基準を複雑にする必要はありません。上昇インパルス候補であれば、まず2波が1波の始点を守れるかが最初の基準です。2波が1波の始点を終値で割り込んだら、その上昇インパルスのシナリオは破棄してください。
4波は、1波の価格帯に過度に入り込まないことが必要です。ABC調整では、C波の安値を再び割り込んだ時点で、調整が終わったという買い判断はいったん取り下げてください。
番号を先に付けてしまうと損切りが遅れ、「まだ2波かもしれない」「複合調整かもしれない」といった言葉で損失を説明することになります。良いエリオット分析は、間違いをすぐ認められる価格を明確にしておきます。
> 上昇5波の候補です。
> 基準価格: 1波の始点80、1波の高値100、2波の安値88
> 再び100を上回って引ければ、3波候補です。
> 88を下回って引けたら、3波への期待を中止してください。
> 80を下回って引けたら、上昇5波シナリオを破棄してください。

基本段階では、3つだけ区別できれば十分です
最初からエクステンション、フェイラー、複合調整、ランニングフラット、NEo Waveまで全部見ようとすると、チャートは必要以上に複雑になります。基本段階では、3つだけを正確に分けるほうが有効です。いまの価格が5波の推進中なのか、ABC調整中なのか、それともまだ判別できないレンジ相場なのかです。
5波の推進中であれば、2波と4波がどこを守るべきかを確認してください。ABC調整中であれば、A波とC波が同程度の強さで動いているか、B波の反発に惑わされていないかを確認してください。レンジ相場であれば、無理に波動番号を付けないでください。
この3つを区別するだけでも、トレードは変わります。3波候補では押し目買いを準備し、C波の途中では底値予測を控え、レンジ相場ではブレイクを確認するまで波動カウントを保留します。エリオット波動の第一の目的は、誤った局面で不用意に入らないようにすることです。より多くを予測するために使う道具ではありません。
次の基本編では、インパルスと調整波を分けて見ます
エリオット波動の大枠は、5波の推進と3波の調整です。ただし実際に活用するには、この2つの構造を分けて学ぶ必要があります。インパルスはトレンドに勢いが乗る局面であり、調整波はその勢いが休む、または戻される局面です。
基本編2では、1・2・3・4・5のインパルスを解説します。各波がどのような役割を持つのか、なぜ3波が重要なのか、2波と4波でどの基準を割り込んだらカウントを破棄すべきなのかを整理します。
基本編3では、A・B・Cの調整波を解説します。ジグザグ、フラット、トライアングルがなぜ異なる動きになるのか、B波の反発を調整終了と勘違いしてはいけない理由、C波を待つべき理由を整理します。