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モノウェーブ — 方向が変わると波は終わります
ニーリーのモノウェーブは、方向が変わるたびに終わります。ジグザグ・フィルターの線と何が違うのかを、BTCの実データで比べます。

自動ジグザグの線を波として数えず、まずフィルターがどの反転を消したのかを確認します。
この連載では、グレン・ニーリー(Glenn Neely)がエリオット波動理論をルール単位で整理し直したNEoWaveを、最も小さな単位から順に扱います。最初のテーマはモノウェーブ(Monowave)です。ニーリーの定義では、モノウェーブは価格が方向を変えた瞬間に終わります。大きさや時間の下限はありません。
波を数えるとき、5%やATR基準のジグザグ・インジケーターを先に表示し、その頂点に1、2、3を付ける方法があります。モノウェーブを「直前の動きを一定比率以上戻した動き」と説明する記事もあります。どちらも、小さな反転をあらかじめ消した線の上でカウントを始めることになります。
2026年7月1日から8月31日までのBTC日足で実際に数えてみると、その差ははっきりします。ニーリーの方法で数えたモノウェーブは93本です。同じ期間に5%ジグザグは4本、10%ジグザグは1本の脚しか描きません。最初に数えた本数がこれだけ違えば、その上に付けた番号も同じカウントにはなりません。

モノウェーブは大きさに関係なく方向転換で終わります
小さな揺れはノイズなので、5%ジグザグのようなフィルターで取り除かないと波は見えない、と考えがちです。ニーリーのモノウェーブにはそのような基準はありません。価格が方向を変えてから次の方向転換までの動きがモノウェーブ1本で、値幅にも時間にも制約はありません。上昇の途中で勢いが鈍り、再び加速しても、一度も下に折れていなければモノウェーブ1本です。逆に、直前の点より少しでも低い点が出れば、上昇モノウェーブはそこで終わります。ニーリーは著書刊行後の公式Q&Aでも、正しく描いた現物チャートの「EVERY TURN in price(価格のあらゆる転換)」がモノウェーブ1本だと述べており、最小の値幅やパーセント条件は置いていません。
BTCが2026年8月19日UTC午前6時から8月21日午前8時まで上昇した区間を見ます。ジグザグ線ではこの上昇は直線1本です。日足の波動チャートで数えるとモノウェーブ5本です。
| モノウェーブ | 価格 | 変化 |
|---|---|---|
| 1 上昇 | 64,166 → 70,000ドル | 9.09% |
| 2 下落 | 70,000 → 68,902ドル | 1.57% |
| 3 上昇 | 68,902 → 73,400ドル | 6.53% |
| 4 下落 | 73,400 → 73,027ドル | 0.51% |
| 5 上昇 | 73,027 → 79,500ドル | 8.86% |
| 全体 | 64,166 → 79,500ドル | 23.90% |
4本目のモノウェーブは1時間で終わり、直前の上昇4,498ドルの8.3%しか戻していません。それでも方向が変わったので1本と数えます。7〜8月の2か月間には、このような小さなモノウェーブがいくつもあります。
- 1%未満のモノウェーブ:12本
- 最も小さいモノウェーブ:7月25日の64,475ドルから7月26日の64,294ドルまでの0.28%下落

小さな反転まで数える理由は、この後に出てくるルールがモノウェーブ同士の価格比率と時間で判断するからです。0.51%の下落を消すと、その前後の上昇が1本にまとまり、後で比べる対象が変わります。小さいからといって反転を消す前に、それが後の比較でどう使われるかを確かめておきます。
ジグザグ・フィルターの線は小さな反転を消した結果です
フィルターの基準を一つ決めると、その線がそのまま波の境界に見えてきます。基準を変えれば線も変わります。パーセント・ジグザグは極値から決めた比率以上逆に動いたときに反転と認め、ATRジグザグはATRの何倍以上動いたときに認めます。基準に届かない反転は線から消えます。ニーリーのモノウェーブの定義にはこのような下限がないので、フィルター線の脚1本をモノウェーブ1本と見ることはできません。
同じ2026年7〜8月のBTC日足で基準だけを変えると、脚の本数は次のとおりです。
| 基準 | 脚の本数 |
|---|---|
| フィルターなし(モノウェーブ) | 93 |
| 5%ジグザグ | 4 |
| 10%ジグザグ | 1 |
| 直近14日ATRの1倍 | 24 |
| 直近14日ATRの2倍 | 5 |
| 直近14日ATRの3倍 | 3 |
ATR基準は時点によっても変わります。日足ATRは7月1日時点で2,191ドル、8月21日時点で1,635ドルです。同じ倍率を使っても、消える値幅が違います。
フィルターが消した反転の中には、基準にほぼ届いた下落もあれば、モノウェーブ15本を含む下落区間もあります。
- 5%ジグザグ:8月1日の62,275ドルから8月28日の81,479ドルまでを上昇脚1本として描きます。その中にある8月21日の79,500ドルから8月23日の75,546ドルまでの4.97%下落は、基準まで0.03ポイント足りずに消えました。
- 10%ジグザグ:7月21日の66,956ドルから8月1日の62,275ドルまで、11.2日間で6.99%下げた区間も消します。この区間の中だけでモノウェーブが15本あります。
モノウェーブを「直前の動きを一定比率以上戻した動き」と定義する説明も、同じ種類のフィルターです。ニーリーはモノウェーブをすべて数えた後で比率を使います。次のモノウェーブが前のモノウェーブを何%戻したかを測って、前のモノウェーブの構造候補を絞り込む手順がリトレースメント・ルールで、第3回で説明します。先ほどの0.51%の下落も、直前の上昇の8.3%を戻したモノウェーブとして記録し、この8.3%がリトレースメント・ルールに入る値になります。
フィルター線を使う場合でも、その線をそのまま波動カウントに持ち込みません。同じ区間のモノウェーブの記録を横に置き、フィルターが消した反転を大きいものから印を付けておけば、カウントがどこで分かれたのかをすぐに確認できます。
モノウェーブが集まってポリウェーブ・マルチウェーブ・マクロウェーブになります
モノウェーブが5本見えると、すぐに推進波やポリウェーブという名前を付けてしまうことがあります。ニーリーはモノウェーブより大きな波に次の名前を付けます。
- ポリウェーブ(Polywave):モノウェーブ3本または5本が集まった波
- マルチウェーブ(Multiwave):ポリウェーブ3本または5本が集まった波
- マクロウェーブ(Macrowave):マルチウェーブ3本または5本が集まった波。それより大きな波もすべてマクロウェーブと呼びます。
短い区間では、推進波1本がモノウェーブ1本であることもあります。ポリウェーブ・マルチウェーブ・マクロウェーブは、本数が合えば付く名前ではありません。モノウェーブのまとまりが有効なパターンでなければなりません。ディグリーも、1週間や100ドルのような固定の大きさでは決めません。ディグリーの決め方は第5回で説明します。
8月19〜21日の上昇の中のモノウェーブも5本です。これをポリウェーブや推進波と呼ぶかどうかは、リトレースメント・ルールと第4回の構造ラベル(推進波は:5、修正波は:3)を経てから決めます。日足の動きはポリウェーブ、週足の動きはマルチウェーブと、あらかじめ決めておくことはしません。
水平区間はモノウェーブの終点を動かすことがあります
価格がほぼ横に動いた区間は、単なる横ばいとして見過ごしがちです。このような区間には中立性のルール(Rule of Neutrality)を適用します。方向転換で決めたモノウェーブの終点を、水平区間を理由に決め直すルールです。同じ価格が2回続けば完全な水平で、始点から引いた45°線より緩やかな動きは水平に近いものと見なします。
- 状況1:水平区間が互いに逆方向の2本のモノウェーブの間にあれば、前のモノウェーブの終点を水平区間の右端に移します。移した終点が高値より少し低くても適用します。
- 状況2:水平区間が同じ方向の2本のモノウェーブの間にあれば、全体をモノウェーブ1本と見るか、3本に分けます。水平区間が時間単位1つ(波動チャートの点の間隔1つ)より長ければ、必ず3つに分けます。
- 例外:前のモノウェーブを61.8%戻す前に前の極値を再び超えた場合は、終点を移しません。移した終点が前のモノウェーブを38.2%より多く戻した位置になる場合も、状況1は使いません。
BTCの2025年7月初めに、状況1の候補があります。
- 水平区間:7月6日UTC午後9時と7月7日午前3時の高値がどちらも109,700ドルです。同じ価格が連続した完全な水平で、前後が上昇と下落です。
- 例外の確認:続く下落2,270ドルは、前の上昇1,900ドルの119.5%です。61.8%を戻す前に109,700ドルを再び超えた点はなく、移した終点も同じ価格なので、どちらの例外にも当たりません。
- 1時間足:2つの点の間で、7月7日午前1時に108,680ドルまで下げてから戻しています。日足波動チャートの点には現れない動きです。
ニーリーは時間をそのチャートの時間単位で数えます。この連載では、波動チャートの点の間隔1つを時間単位1つと数えます。終点を移すと、上昇と下落の時間は次のように変わります。
| 項目 | 終点を移す前 | 状況1を適用 |
|---|---|---|
| 上昇モノウェーブ | 1単位 | 2単位 |
| 下落モノウェーブ | 3単位 | 2単位 |
| 下落時間 ÷ 上昇時間 | 3.0倍 | 1.0倍 |
| 参考:実際の時刻差で測った比率 | 2.64倍 | 1.35倍 |
2026年8月初めには、水平に近い候補があります。
- 候補区間:8月5日午後8時の65,025ドルの次の点が、8月6日午前8時の64,999ドルです。点の間隔1つの間に26ドル、0.04%下げました。
- 1時間足:その間に64,439ドルまで下げてから戻しています。
- 例外の確認:終点を64,999ドルに移しても、前の上昇1,145ドルの2.3%を戻した位置なので、38.2%の例外には当たりません。
ただし、この区間が45°より緩やかかどうかは、比例のルール(Rule of Proportion)どおりに描いたチャートで測る必要があります。比例のルールは、チャートの価格・時間の目盛りを決めるルールです。
- 方向性のある動き:正方形の対角線、約45°に沿うように目盛りを決めます。許容誤差は一辺の25%以内です。
- 横ばい:値幅が正方形の高さの約50%になるように描きます。
この記事では、チャートソフトの自動スケールがこのルールに従っているとは見なしません。画面で見た傾きだけで45°かどうかを判断することはしません。

この連載の測定ツールは、中立性のルールを自動では適用しません。終点が1つ変わると、時間比率が3.0倍から1.0倍に変わったように、後の計算がすべて変わります。そのため、この連載では水平区間が現れたら、中立性のルールを適用したかどうかを数字の横に書き添えます。
フィルター線とモノウェーブでは損切り幅から違います
ジグザグ線の最後の安値に損切りを置く方法があります。この方法では、その安値とエントリー価格の間にあるモノウェーブの安値が損切りの計算に入りません。
以下は売買計画の例です。ニーリーのパターン判定ルールとは別物です。モノウェーブの記録で損切り位置を決めると、フィルター線を使う場合と比べて距離がどれだけ違うかを示すための計画です。
- エントリー条件:5%ジグザグの上昇脚の中で、下落モノウェーブが直前の上昇モノウェーブを50%未満しか戻さずに上へ方向を変えること。2026年8月19〜20日に64,166ドルから70,000ドルへ上げた後、68,902ドルまで18.8%戻した区間が該当します。
- エントリー:下落が始まった70,000ドルを再び超えたときに買います。8月20日UTC午前7時の1時間足で超えました。
- 損切り:下落モノウェーブの終点68,902ドルの下です。エントリー価格から1.57%の距離です。同じ位置で5%ジグザグの最後の安値62,275ドルを損切りに使うと、11.0%の距離になります。
- 無効化:損切り前でも、次の下落モノウェーブが直前の上昇モノウェーブを100%以上戻したら、この計画は捨てます。この事例では、次の下落は直前の上昇4,498ドルの8.3%でした。
同じエントリーでも、損切り幅は1.57%と11.0%で7.0倍違います。同じ損失上限でポジションサイズを決めれば、サイズも7.0倍変わります。フィルター線の安値を損切りの根拠に使う前に、その間に消されたモノウェーブの安値がないかを確認します。
モノウェーブを記録する前に2つを確認します
- 高値と安値の順序:各足で高値と安値のどちらが先に出たかを確認します。日足1本は点を2つ作り、順序が変わればモノウェーブの境界も変わります。この記事の例は1時間足で順序を決めており、2026年7〜8月の区間には順序を決められなかった点はありませんでした。順序の決め方と現物データを使う理由は、第2回で説明します。
- チャートの単位:モノウェーブの本数は、どのチャート単位で数えたかによって変わります。ニーリーは、最初に描くチャートにデータ点を約60個使うよう勧めています。価格・時間の単位を選んだ時点で、どの波を見てどの波を見ないかも同時に決まります。
先ほどの2つの水平区間も、1時間足で見ると日足波動チャートにはない下落が含まれていました。そのため、日足波動チャートで数えた93本を市場の唯一の波の本数としては使いません。どのチャート単位で数えたか、中立性のルールをどこに適用したかを一緒に書いておくことで、第3回のリトレースメント・ルールを同じ基準で適用できます。