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波動チャート — ローソク足は高値と安値の順序を示さない

グレン・ニーリーの波動チャートは高値と安値を発生順に打ちます。BTCデータで、終値ライン、足の中の順序、1日の区切り、時間軸がモノウェーブの数をどう変えるかを確かめます。

波動チャート — ローソク足は高値と安値の順序を示さない

ローソク足1本は、高値と安値がいつ付いたかを教えてくれません。下位足で順序を確かめてから波を数えます。


第1回では、モノウェーブは価格の方向が変わるところで終わると整理しました。しかし方向がどこで変わるかは、チャートにどの点をどの順序で打つかによって変わります。グレン・ニーリー(Glenn Neely)がデータの選び方と点の打ち方を細かく定めた理由はここにあります。


波を数えるとき、終値ラインやローソク足チャートを開いてすぐに番号を付けることがあります。終値ラインは日中の高値と安値を消します。ローソク足は高値と安値を両方示しますが、どちらが先に付いたかは教えてくれません。モノウェーブは方向転換で区切られるため、順序がわからなければモノウェーブを数える段階で間違えてしまいます。


この記事では、BTCの日足1本が高値・安値の順序によってモノウェーブ3本にも5本にもなる例を実データで確かめます。続いて、現物データ、24時間市場の1日の区切り、時間軸と画面内のモノウェーブ数、点を等間隔に打つ理由を順に整理します。


終値ラインは日中の高値と安値を消します


ニーリーは、月・週・日・時間のどの単位でも、終値だけを結んだデータを波動分析で最も信頼しにくいデータと見ています。終値はその期間内に価格がどこまで上がり、どこまで下がったかを教えてくれません。期間が終わる瞬間がパターンの終わる瞬間と一致する理由もありません。そのため終値ラインは、ほかのデータがまったくないときにだけ使います。


BTCの2024年2月26日から3月12日までの日足16本を2通りの方法で結ぶと、大きな差が出ます。


項目終値ライン高値・安値波動チャート
モノウェーブ数8本20本
最大の下落3月4日終値68,246ドル → 3月5日終値63,724ドル3月5日高値69,000ドル → 安値59,005ドル
下落幅6.63%14.49%

終値ラインでこの区間を見ると、下落幅を半分以下に測ることになります。第3回で扱うリトレースメント比率も別の数字で計算されます。


上:終値ライン · モノウェーブ8本 / 下:高値・安値ウェーブライン · モノウェーブ20本
上:終値ライン · モノウェーブ8本 / 下:高値・安値ウェーブライン · モノウェーブ20本上:BTC / USDT · 日足ローソク · UTC;下:BTC / USDT · 日足ローソク · UTC。BTC日足 2024-02-26〜03-12。上のオレンジの終値ラインはモノウェーブ8本、下の黒い高値・安値ウェーブラインは20本です。下のラインは、1時間足で確かめた発生順に高値・安値を等間隔に配置しました。3月5日の安値59,005ドルは両パネルのローソク足のヒゲに見えますが、ウェーブラインには下のパネルでしか反映されません。

終値ラインで波を数えると、測定を始める前に日中の高値と安値がすでに抜け落ちています。比率を測る前に、高値・安値でチャートを描き直します。


ローソク足1本は、高値と安値のどちらが先だったかを教えてくれません


ローソク足は高値と安値を両方示すので、日足1本で必要な情報をすべて見られると考えがちです。ローソク足はある期間の高値と安値を1本の線に一緒に描きます。そのため高値と安値が同じ瞬間に付いたように見えます。前日より高値が高く安値が安い外はらみ足(Outside bar)では、どちらが先だったかによってニーリーの解釈が変わります。


  • 安値が先:新しい高値は第5波が続いていると読めます。
  • 高値が先:先行する上昇は3つの部分からなる修正である可能性があり、その後の下落が新しい下降トレンドの始まりである可能性が高まります。

どちらの場合も、順序だけでカウントを確定するわけではありません。変わるのは各カウントの可能性です。


BTCの2024年3月5日の日足が外はらみ足です。高値69,000ドルは前日高値68,499ドルより高く、安値59,005ドルは前日安値62,300ドルより安くなっています。1時間足で見ると、高値はUTC15時、安値は19時に付きました。高値が先で、4時間で14.49%下落しました。3月5日の順序だけを入れ替えて3月4〜6日の高値・安値を結ぶと、モノウェーブの数が変わります。


3月5日の順序3月4〜6日のモノウェーブ本数
実際(高値が先)62,300→69,000 上昇、69,000→59,005 下落、59,005→67,641 上昇3本
入れ替えた場合(安値が先)62,300→68,499 上昇、68,499→59,005 下落、59,005→69,000 上昇、69,000→62,779 下落、62,779→67,641 上昇5本

ローソク足の形は同じです。入れ替えた場合は69,000ドルが下落の後に付いた新高値になり、上昇が続いていると読めます。


順序が変えるモノウェーブ
順序が変えるモノウェーブBTC 2024-03-05の外はらみ足。左:2024-03-04〜03-06の1時間足の上に、3本の日足の高値・安値を実際の発生時刻で結んだ黒い線です。右:日足波動チャートで、黒い線は実際の順序(高値が先)、オレンジの点線は3月5日の順序だけを安値が先に入れ替えた場合です。グレーの網掛けが3月5日です。

外はらみ足が出た日は、ローソク足の形だけを見て波の番号を付けません。下位足で高値と安値の時刻を先に確かめます。


以下は例示のトレードプランです。ニーリーのパターン判定ルールとは別物です。外はらみ足が出たときの手順を、2024年3月5日の数字で書きました。


  • 対象:BTC日足が前日の高値と安値をともに超える外はらみ足で、高値と安値の差が安値の9%以上です(2024年3月5日は16.9%)。
  • 順序の確認:1時間足で高値と安値の時刻を確かめます。同じ1時間足の中にあれば、このプランは使いません。
  • 保留条件:高値が先に付いたなら、その日の安値(59,005ドル)を最後の点とします。外はらみ足の高値(69,000ドル)の上で日足が引けるまでは、上昇が続くというカウントで買いません。
  • エントリー:外はらみ足の高値の上で引けた最初の日足の終値です(2024年3月11日終値72,078ドル)。
  • 損切り:外はらみ足の翌日からエントリー日までの最安値(2024年3月6日62,779ドル)の下です。エントリー価格から12.9%の距離です。
  • 無効化:エントリー前に外はらみ足の安値(59,005ドル)を下回ったら、このプランは使わず、カウントを最初から見直します。

BTC日足でローソク足の色から順序を推測すると、10回に1回以上外れます


下位足を開かずに、陽線なら安値が先、陰線なら高値が先と推測する方法があります。BTC日足にこの推測を当てはめ、1時間足の実際の順序と比べました。


  • 期間:2018年1月1日〜2026年10月21日、日足3,216本
  • 1時間足で順序を確定できた日:3,189日
  • 色で推測した順序が外れた日:376日(順序を確定した3,189日の11.8%)
  • 1時間足でも順序を決められなかった日:27日

いくつかの日の1時間足での順序は次のとおりです。時刻はUTCです。


日付1時間足で見た順序結果
2023年3月14日高値26,387ドル(13時) → 安値23,976ドル(21時)陽線なのに高値が先
2020年8月2日高値12,123ドルと安値10,519ドルがともに4時の足の中順序を確定できない
2021年5月19日高値43,585ドル(0時) → 安値30,000ドル(13時)順序を確定
2020年3月12日高値7,966ドル(0時) → 安値4,410ドル(23時)順序を確定

2023年3月14日は始値24,112ドル、終値24,670ドルの陽線です。色で推測すると、この日の最後の点は高値ですが、実際の最後の点は安値です。2020年8月2日は、1日の値幅15.3%全体が1本の1時間足の中で付きました。この記事のデータは1時間足までなので、こうした日は順序を確定していないものとして表示します。2021年5月19日や2020年3月12日のように値幅の大きい日でも、高値が最初の1時間に付いていれば順序を決めるのは難しくありません。


ローソク足の色では順序はわかりません。下位足で確かめ、同じ下位足の中に高値と安値が両方あれば、2つの順序を両方記録しておきます。


データは現物を使い、暗号資産では1つの市場に決めておきます


暗号資産のチャートを見るとき、現物と無期限先物のチャートを行き来して高値と安値を選ぶことがあります。ニーリーは先物チャートに固有の問題があると見ています。満期が残っている先物は現物と価格差があり、満期が近づくにつれて現物にくっつきます。また一部の先物市場は参加者が少なく、大きな資金が価格を動かせます。そのため、できるだけ現物データを使うよう勧めています。2025年にNEoWave公式ブログが紹介した5段階の分析手順の第1段階も、高値・安値の発生順序までわかる現物データを入手することです。


暗号資産の無期限先物には満期がないので、満期に現物へ収束するという問題はそのまま当てはまりません。代わりに、資金調達率(ファンディング)で現物価格を追う仕組みで、同じ時刻の高値・安値が現物と同じである保証はありません。この連載はバイナンスの現物データだけを使い、無期限先物との差は測っていないので、その差がどれほど大きいかは述べません。ニーリーが暗号資産の無期限先物を直接扱った公式資料も見つかりませんでした。


やることは単純です。1つの波動チャートには、1つの取引所の1つの銘柄だけを使います。現物チャートと無期限先物チャートを混ぜて高値と安値を選ぶと、互いに異なる価格で比率を測ることになります。


24時間市場では、まず1日をどこで区切るかを決めます


24時間取引される市場には取引終了がないため、1日の区切りを別に決める必要があります。ニーリーは金・銀・為替の現物で1日を区切る方法をいくつも試しました。


  • 1つの国の取引時間のデータだけを使ったチャート:分析できました。
  • 複数の国の市場の価格をつないで24時間を1本の線で描いたチャート:分析できないことが多くありました。
  • 自分の市場の引け時刻を1日の区切りにして、その24時間の高値・安値を使う方法:ニーリーは試していませんが、うまくいきそうだと述べた方法です。

暗号資産には国ごとの取引時間がないので、3つ目の方法に近い形で使うしかありません。ニーリーが自ら試していない方法だと承知のうえで使います。区切りをどこに置くかも結果を変えます。BTCの2024年3月の31日分の1時間足で日足の波動チャートを作り、1日の区切りだけを変えると、モノウェーブの数が変わります。


1日の区切りモノウェーブ数
UTC0時(韓国時間午前9時)41本
UTC8時44本
UTC12時42本
UTC16時48本

この連載はバイナンスの日足と同じUTC0時の区切りを使います。区切りを一度決めたら、分析の途中で変えません。ほかの人のカウントと比べるときは、まず区切りが同じかどうかを確かめます。


時間軸は画面内のモノウェーブ数で選びます


時間軸は、ふだん見ている足で選びがちです。NEoWaveの資料には、1つのチャートに収めるデータ点やモノウェーブ数の基準があります。本と後続の資料とでは基準が異なります。


  • 本:1つの市場を見るには、少なくとも日足・週足・月足のチャートが必要です。最初の日次チャートにはデータ点を約60個打ち、次のチャートは期間を半分にして約30個打ちます。
  • 2025年の公式ブログ:5段階のうち第3段階で、すべてのチャートのモノウェーブが13本以上55本以下になるよう複雑さを調整するよう求めています。理想的な本数は21〜34本です。この数字は本にはありません。

ブログは本数をどう合わせるかを書いていません。この記事では時間軸を変えて本数を比べます。BTCの2024年3月の1か月を時間軸別の波動チャートで描くと、本数に大きな差が出ます。


時間軸モノウェーブ数順序を決められなかった足
週足5本なし
日足41本なし
4時間足276本186本中15本
1時間足1,107本すべて

この本数は中立性のルールを適用していない元の本数なので、実際に数えるときは減ることがあります。1時間足の本数は、高値・安値の順序を決められないまま数えた値です。それでも範囲は判断できます。この1か月を見ると、週足は13本に届かず、4時間足と1時間足は55本を大きく超えます。日足だけが13〜55本の範囲に入ります。


上:週足 · モノウェーブ5本 / 中:日足 · モノウェーブ41本 / 下:4時間足 · モノウェーブ276本
上:週足 · モノウェーブ5本 / 中:日足 · モノウェーブ41本 / 下:4時間足 · モノウェーブ276本上:BTC / USDT · 週足ローソク · UTC;中:BTC / USDT · 日足ローソク · UTC;下:BTC / USDT · 4時間足ローソク · UTC。BTC 2024年3月。上から週足・日足・4時間足の波動チャートで、モノウェーブは5本・41本・276本です。黒い線は各足の高値・安値を発生順に等間隔で結びました。下のパネルは波の密度の比較用で、個々の波の構造を読むには期間を縮めて拡大する必要があります。

下位足に降りるときは、データの限界も合わせて確認します。この連載のデータは1時間足までなので、1時間足チャートでは高値・安値の順序を1つも確定できません。1時間足チャートで波を数えるには、それより小さい足が必要です。


点を等間隔に打つのは、ニーリーが試した結果です


横軸を実際の時刻どおりに描くほうが正確に思えます。波動チャートでは、各値をその時間単位の中央に打ち、新しい点を前の点と同じ横の間隔に置き、点同士を直線で結びます。高値がUTC15時に、安値が19時に付いても、横軸では実際の時刻に関係なく順番どおりに並びます。


2006年の公式Q&Aで、ある読者が、この方式は高値と安値の間の時間差を捨てているのではないかと尋ねました。ニーリーの答えは次のとおりです。


  • 時刻がわからない問題:1日の高値・安値は最初の1分に付いたかもしれないし、最後の1時間に付いたかもしれません。
  • 当初の考え:キャリアの初期には、実際の時刻どおりに打つほうがよいだろうと考えていました。
  • 試した結果:バーチャート、高値・安値の平均、終値、時刻を正確に反映したチャート、等間隔チャートをすべて試し、等間隔が"far superior to the others"(ほかの方式よりはるかに優れている)でした。
  • やめた方式:時刻を正確に反映したチャートは、この回答の時点より20年前にやめました。なぜそのほうがよくないのかは自分でもわからないが、実際によくなかったと述べました。

理論で証明したルールではありません。ニーリーがさまざまな方式を試した経験から得た基準です。


この記事の図も同じ方式で描きました。日足1本に点を2つ、足の4分の1と4分の3の位置に置き、順序は1時間足で決めました。2つ目の図の右側で、3月5日の高値と安値は実際には4時間の差がありますが、チャートではほかの日の2点と同じ間隔です。時刻の情報は高値・安値の順序を決めることにだけ使い、チャートは等間隔で描いてから、その上で波を数えます。この連載では、波の時間を比べるときも点の間隔1つを時間単位1つと数え、実際の時刻差は別に記すときにだけ使います。横軸を実際の時刻どおりに描き直したくなったら、ニーリーがその方式を試したうえでやめたことを先に思い出してください。