OptiNod アカデミー

リトレースメント・ルール — 比率で前の波の:5と:3を絞り込む

ニーリーのリトレースメント・ルール1〜7は、m2/m1とm0/m1の比率で、終わったばかりの波の構造候補を絞り込む手順です。

リトレースメント・ルール — 比率で前の波の:5と:3を絞り込む

ニーリーはフィボナッチ・リトレースメント比率を目標価格として使いません。前の波が:5か:3かを絞り込むために使います。


第2回では、同じローソク足でも高値と安値が付いた順序によって波の形が変わることを確かめました。この記事では、そうして作った波動チャートからモノウェーブを1本選び、その前後の動きと値幅を比べます。グレン・ニーリー(Glenn Neely)はこの段階をリトレースメント・ルール(Retracement Rules)として整理しました。


ふつうフィボナッチ・リトレースメントは目標価格として使います。上昇の後、38.2%や61.8%に線を引き、価格がその線まで下がってきたら押し目買いを準備します。


ニーリーは同じ比率を、リトレースメントが終わった後に測ります。モノウェーブ1本だけを見ても推進波か修正波かはわからないので、前後の動きの大きさで判断します。後に続いた動きがその波をどれだけ戻したか、前の動きはどれだけ大きかったかを測ると、構造候補が減ります。構造記号の:5は推進波、:3は修正波を意味します。


つまり、この手順の結果は買い価格ではありません。前の波に付けられる構造記号の候補リストです。第4回では、このリストを使って波をパターンにまとめます。


m1を決めると、前はm0、後はm2になります


分析するモノウェーブを1本選んでm1とします。m1のすぐ後の動きがm2、すぐ前の動きがm0です。同じように、さらに前はm(-1)・m(-2)、さらに後はm3・m4と呼びます。この番号は、いま見ている波を基準にした相対位置です。m1の判定が終わったら、いま使ったm2を新しいm1にして同じ計算を繰り返します。


計算は割り算を2回するだけです。m1が上昇の波でも下落の波でも同じです。


  • ルール番号:m2の値幅 ÷ m1の値幅
  • 条件アルファベット:m0の値幅 ÷ m1の値幅

結果はm1の終点に「R-2d」のように略して書きます。ルール2、条件dという意味です。BTC週足波動チャートで2024年8月の反発をm1に置くと、この表記になります。


区間動きm1比
m07月29日 70,080ドル → 8月5日 49,000ドル 下落153.4%
m18月5日 49,000ドル → 8月8日 62,745ドル 上昇100%
m28月8日 62,745ドル → 8月15日 56,079ドル 下落48.5%

m2/m1の48.5%は38.2%以上61.8%未満なのでルール2です。m0/m1の153.4%はルール2の条件d(100%以上161.8%以下)に入ります。m2の終点は、8月23日に価格がm1の高値を再び上抜けたときに確定しました。


番号を付ける前に、m1がモノウェーブ1本なのか、すでに1つのパターンに圧縮された区間なのかを確かめます。複数のモノウェーブを適当に選んでm1に置くと、その後の計算は意味を持ちません。


m2は価格がm1の範囲を抜けたときに終わります


m1の後の最初の逆方向の動き1本だけをm2にして比率を測ると、m2の終点を早く決めすぎることがあります。ニーリーの観察のルール(Rule of Observation)は、m2の終点を価格の境界で決めます。上昇のm1なら次の2つの場合があります。


  • m1の高値を再び上抜けるとき:m1の高値と新高値の間の最安値がm2の終点です。
  • 先にm1の安値を割り込むとき:安値を割り込んだ後、最初に上へ転じたところがm2の終点です。

それまでにm1の範囲内で価格が何度も上下したら、そのまとまり全体がm2です。このまとまりをモノウェーブ・グループと呼び、mg2と書きます。まとまりは3本や5本のように奇数本のモノウェーブからなり、m1がモノウェーブ1本なら、ふつう5本以下です。例外もあります。m0も時間を逆にたどって同じ方法で決めます。


最初の反発1本とm2のまとまりは別のルールになります
最初の反発1本とm2のまとまりは別のルールになりますBTC 2021年2〜3月。薄いローソク足は日足、線は週足波動チャートです。コーラルの太線がm1(58,353→43,000ドル)、緑の実線3本がm2のまとまり、緑の点線がまとまり全体の始点と終点です。黒の実線はm0のモノウェーブ3本、黒の点線はm0全体です。グレーの点線はm1の始点と終点の価格です。✕は最初の反発だけをm2と見たときの終点(52,640ドル)、✓は観察のルールで決めたm2の終点(61,844ドル)を指し、それぞれ頂点のすぐ上に表示しました。

BTC週足の2021年2〜3月では、m2の決め方によってルール番号が変わります。m1は2月21日の58,353ドルから2月28日の43,000ドルまでの下落です。


m2の決め方m2の終点m2/m1ルール表記
最初の反発1本3月3日 52,640ドル62.8%3(表どおりなら4)R-3d
観察のルール(モノウェーブ3本)3月13日 61,844ドル122.7%5R-5b

最初の反発は52,640ドルで止まりました。その後、価格はm1の範囲内で49,275ドルまで再び下げ、3月13日にm1の始点58,353ドルを上抜けました。観察のルールで見ると、この3つの動き全体がm2です。m0は2月8日の37,989ドルから始まった上昇のまとまりです。m1の132.6%なので、ルール5では条件b、最初の反発だけを見たルール3では条件dです。


m2は、価格がm1の始点か終点を超えて初めて確定します。それより前に測った比率は、まだ進行中のm2の比率です。この段階でルール番号を決めると、同じ反発についてルール3とルール5の間を行ったり来たりすることになります。


ルール番号はm2/m1を7つの区間に分けます


ニーリーの判定表はm2/m1を次の7つの区間に分けます。注目すべきは、61.8%という1つの値だけに当たるルール3です。


ルールm2/m1(価格)
138.2%未満
238.2%以上61.8%未満
3ちょうど61.8%(許容誤差で58〜66%)
461.8%超100%未満
5100%以上161.8%未満
6161.8%以上261.8%以下
7261.8%超

m2がm1を61.8%戻すと、m1は修正波と推進波の境目にあり、構造を判断するのが最も難しくなります。この体系での61.8%は、リトレースメントが止まる価格ではありません。判断が最もあいまいになる測定値です。


ルール4には、m3/m2で決めるカテゴリーがもう1つ付きます。


  • カテゴリーi:m3がm2の100%以上161.8%未満
  • カテゴリーii:161.8%以上261.8%以下
  • カテゴリーiii:261.8%超

最初の下落とm2のまとまりの違い
最初の下落とm2のまとまりの違いBTC日足、UTC基準2026年2月24日〜3月2日です。コーラルのm1は62,510→69,989ドル、緑の実線はm2の内部、緑の点線はm2全体、黒い線はm3です。青灰色の帯はm1の38.2〜61.8%リトレースメント(ルール2)、コーラルの帯は61.8〜100%(ルール4)です。最初の下落は46.7%、m2のまとまりは93.1%を戻します。✕は最初の下落だけをm2と見たときの終点(66,500ドル)、✓はm2のまとまりの終点(63,030ドル)で、それぞれ頂点のすぐ下に表示しました。

BTC日足の2026年2月末がルール4の例です。m1は2月24日の62,510ドルから2月25日の69,989ドルまでの上昇です。最初の下落だけを見ればルール2、観察のルールでまとめればルール4です。


  • 最初の下落:2月26日に66,500ドルで止まり、m1の46.7%なのでルール2です。
  • m2のまとまり:価格はm1の高値を超える前に再び下げ、2月28日に63,030ドルまで下がりました。モノウェーブ3本のまとまりで、m1の93.1%なのでルール4です。
  • m0とm3:m0はm1の101.8%なので条件cです。m3は3月2日に70,096ドルまで上がり、m2の101.5%なのでカテゴリーiです。
  • 表記:R-4c-i

この例には境界に近い値が2つあります。m0/m1の101.8%は条件bとcの境界である100%に近いので、この記事では条件bとcの段落を両方確かめます。m3/m2の101.5%もカテゴリーiの下限100%に近く、m3がもう少し短ければカテゴリー表の外でした。m0を1つのまとまりと見なせるかも別に確かめる必要があります。このm0はモノウェーブ15本のまとまりで、ふつうの範囲(5本以下)を超えており、始点の70,127ドルもm1の終点を0.2%しか超えていません。


条件a〜fはm0の大きさで決めます


条件アルファベットをトレンドの強弱として読んではいけません。条件は、構築前の論理ルール(Pre-constructive Rules of Logic)でどの段落を読むかを決める番号です。ルール番号がm2とm1の関係なら、条件はm0とm1の関係で、区切る境界はルールごとに異なります。


  • ルール1:m0/m1を61.8%、100%、161.8%で区切ってa〜d
  • ルール3:38.2%から261.8%までの5つの境界でa〜f
  • ルール5〜7:100%、161.8%、261.8%で区切ってa〜d

1つの条件で候補が1つだけ残る場合もあります。2025年10月10日、BTCはUTC午後1時の122,550ドルから午後9時の102,000ドルまで下落し、10月11日午前3時に113,322ドルまで反発しました。日足波動チャートでこの反発をm1に置きます。


  • m2:10月11日に109,562ドルまで下落し、m1の33.2%でルール1です。
  • m0:前の下落はm1の181.5%なので、161.8%を超える条件dです。
  • 結果:ルール1の条件dでは、ありうる構造は:5の1つだけです。m1の終点に:5を書きます。

ほかの条件の段落では、複数の文からなる条件を順に確かめ、m3・m4やm(-1)・m(-2)まで見て記号を加えたり外したりします。時間の条件もこの段階で入ってきます。たとえばルール1の条件aは、m2がm1以上の時間をかけて形成されたなら、m1の終点に:5を書くよう求めています。


価格比率は許容誤差で見て、時間の比較は1単位まで数えます


60%のリトレースメントを「最低61.8%」の基準に届かないとして除外してはいけません。価格比率には許容誤差があります。2つの波が61.8%の関係にあるというのは、小さい波が大きい波の58〜66%にあるという意味です。構築前の論理ルールに出てくる「ほぼ」「近い」は、その比率の±10%以内と読みます。


58.7%はルール3の許容範囲内にあります
58.7%はルール3の許容範囲内にありますBTC 2021年11月〜2022年1月。薄いローソク足は日足、線は週足波動チャートです。コーラルの太線がm1(59,177→42,000ドル)、緑の実線がモノウェーブ5本からなるm2のまとまり、緑の点線がまとまり全体、黒の実線がm0とm3です。緑の網掛けはm1の58〜66%リトレースメント区間、緑の点線の水平線は61.8%(52,616ドル)、グレーの点線はm1の終点価格です。✓はm2の終点(52,088ドル)のすぐ上に表示しました。

BTC週足の2021年12月が許容誤差の例です。m1は11月30日の59,177ドルから12月4日の42,000ドルまでの下落です。m2のまとまりはモノウェーブ5本を経て12月27日に52,088ドルで終わり、2022年1月7日に価格が42,000ドルを割り込んだことで確定しました。


  • m2/m1:58.7%です。表を文字どおり読めばルール2、許容誤差で読めばルール3です。
  • m0/m1:34.5%なので条件aです。条件bの境界38.2%にも近い値です。
  • 表記:許容誤差で読んだR-3aを書きます。境界が2か所とも近いので、この記事ではR-2a・R-3b・R-2bの段落も一緒に確かめます。

時間は違います。前の波を戻した時間は、許容誤差なしに書かれたとおりに数えます。「m1(+1時間単位)が形成された時間以内に戻された」という文なら、m1にかかった単位数に1を足した値と、m2がm1を完全に戻すまでにかかった単位数を比べます。単位は、その波を決めたチャートの点の間隔です。


前述の2021年2〜3月の例は週足波動チャートで決めたので、そのチャートの点の間隔で数えます。


  • m1:2マス
  • m1の始点価格を初めて超えた点:3月13日、m1の終点から4マス後
  • 判定:4は2+1より大きいので、この文は偽です。

同じ区間を週単位で数えると、m1が1週、リトレースメントが2週なので真になります。数える単位が変わると判定が変わることがあります。時間の条件には、どのチャートのどの間隔で数えたかを一緒に書いておく必要があります。


結果は:5と:3の候補リストです


ルールと条件を当てはめると、m1に付ける構造記号の候補が出てきます。たとえばルール1の全リストは{:5/(:c3)/(x:c3)/[:sL3]/[:s5]}、ルール2は{:5/(:sL3)/[:c3]/[:s5]}です。丸括弧内の記号は可能性の低い候補、角括弧内の記号はきわめてまれな候補です。m1がチャートの最初のモノウェーブであるか、条件を判断する手がかりがなければ、そのルールのリスト全体をm1の終点に書きます。段落によっては、m1の代わりにm0やm2の終点に記号を書くよう求めるものもあります。


ルール1・2のリストは:5で始まり、ルール3・4・5のリストは、ルール4条件cの{:c3/(:F3)/(x:c3)}のように:F3や:c3で始まります。ルール6・7は本の目次にリストがありません。いずれにせよ、リストには複数の記号が残ります。:F3・:c3のような位置記号の意味と、この記号を隣の波の記号とつなげてパターンの始まりと終わりを見つける方法は、第4回で説明します。


以下は例示のトレードプランです。ニーリーのパターン判定ルールとは別物です。前述の2026年2〜3月の日足の例を基準に、m2が確定した後にだけルール番号を使うよう順序を決めました。


  • m2の確定条件:価格がm1の終点69,989ドルを再び超えるまでは、ルール番号を確定しません。この例では、3月2日UTC午後4時の1時間足の高値70,096ドルで確定しました。
  • ルールの確認:確定したm2のまとまりがm1の61.8%超100%未満(93.1%)で、m0/m1が100%の境界付近(101.8%)なら、R-4bとR-4cの候補を両方書きます。
  • エントリー基準価格:m1の終点69,989ドルを再び超える価格です。
  • 損切り:m2の終点63,030ドルの下です。エントリー基準価格から9.9%離れた価格です。
  • 無効化:m2が確定する前にm1の始点62,510ドルを割り込んだら、m2が100%を超えたということです。ルール5以上に付け直し、このプランは使いません。

ルール番号を書く前に2つを確かめます


  • m2とm0の境界:観察のルールで決めたかを確かめます。最初の逆方向の動き1本だけを測った場合、2021年2月の例はルール3(表どおりなら4)、2026年2月の例はルール2になりました。観察のルールで決めると、それぞれルール5、ルール4です。
  • 境界付近の比率:この記事では、34.5%、58.7%、62.8%、101.8%のように境界から4ポイント以内にある値を1つのルールや条件に決めず、両側の段落を確かめました。

この記事の観察のルールのまとまりは別のコードで計算し、水平区間の境界を動かす中立性のルールは適用していません。中立性のルールを適用すると、境界の価格と時間が変わり、比率も変わることがあります。価格は許容誤差で読み、時間は点の間隔で正確に数えれば、同じチャートを見直しても同じ候補リストが得られます。61.8%付近で反発したことは、買いの根拠にはしません。m1の構造候補を減らす根拠としてだけ使います。