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隠れた波 — 根拠があるときだけ代替カウントとして置く

ニーリーの隠れた波は、時間単位が消したモノウェーブです。認める条件と見せかけの手がかりをBTCの実データで測ります。

隠れた波 — 根拠があるときだけ代替カウントとして置く

合わないカウントに隠れた波を押し込まず、下位の時間足で実際に見えるか、ルール上必要なときだけ代替カウントとして置きます。


第13回では、どの波がチャネルラインを超えるかで構造を判断しました。この記事では、チャートに見えない波を説明します。グレン・ニーリー(Glenn Neely)は、より小さな時間単位で描けば見えたはずの波が、大きな時間単位のデータ点の間に消えてしまう場合を隠れた波(Missing wave)と呼びます。


カウントがルールに合わないとき、「ここに隠れた波が一つある」として番号を合わせる分析があります。こうすれば、どんなチャートでも望むパターンにできてしまいます。ニーリーは隠れた波を使える段階、パターンの種類、データ点の数を決めており、その範囲外では隠れた波を考慮しません。


この記事では、同じBTCの区間を日足、12時間足、4時間足、1時間足で数え直し、消えた波が下位の時間足で実際に見えるかを確認します。見えた波を入れたカウントがルールを満たすかも、別に測ります。


隠れた波は大きな時間単位で消えたモノウェーブです


日足で三回動いた上昇は、ついABCと数えたくなります。同じ区間をより短い足で描くと、動きの数が増えます。


隠れた波はモノウェーブが集まってポリウェーブになる段階で生じ、隠れる波はほぼ常にモノウェーブ一つです。ポリウェーブ以上の大きな波が丸ごと隠れることはありません。原因は時間単位です。どの時間単位を選んでもそれより短い単位の動きがあり、短いチャートで終わったパターンが、長いチャートでは点が足りずにより単純な形に見えます。ニーリーは本の後、2008年の公式Q&Aでこの現象を複雑さの圧縮(complexity compression)と呼びました。同じ回答には、24時間ごとではなく12時間ごとに高値・安値を打つと、抜けていた4波が見える事例が出てきます。


BTCの2025年3月の上昇を時間足ごとに数えました。区間は3月1日UTC午前0時の83,825ドルから3月2日午後5時の95,000ドルまでで、日足ではa・b・cのモノウェーブ3本です。


波動チャートモノウェーブ数備考
日足3データ点4個(始点を含む)
12時間足7
4時間足15高値・安値の順序が未確定の点2個を含む
1時間足64足の中の高値・安値の順序は確認不可

日足でモノウェーブ一本だったcは、4時間足で3本に分かれます。中央に88,673ドルから87,279ドルまで1.57%下がったモノウェーブがあります。1時間足ではcが5本に見えます。


上:日足の波・モノウェーブ3本 / 中:4時間足の波・モノウェーブ15本 / 下:日足c内部・4時間足モノウェーブ3本
上:日足の波・モノウェーブ3本 / 中:4時間足の波・モノウェーブ15本 / 下:日足c内部・4時間足モノウェーブ3本上:BTC / USDT・4時間足ローソク・日足の波の終点・UTC;中:BTC / USDT・4時間足ローソクと波の終点・UTC;下:BTC / USDT・1時間足ローソク・4時間足の波の終点・UTC。BTC 2025-03-01〜03-02(UTC)。上は4時間足ローソクの上に日足モノウェーブa・b・cの3本、中は同じローソクの上に4時間足モノウェーブ15本です。中のオレンジの1〜5は検証する代替カウントで、緑の帯は日足cの区間です。下はc内部の1時間足ローソクと4時間足モノウェーブ3本を拡大したものです。オレンジの2〜5は中と同じ点です。パネルごとにローソクの周期と波の周期を別に表示しました。

下位の時間足で波がより多く見えるのはチャートの単位のためです。その波をカウントに入れるかは、次の節の条件で決めます。


隠れた波が生じ得る場所は決まっています


隠れた波はどのパターンにでも入れられるわけではありません。ポリウェーブ単位でのみ生じ、マルチウェーブ以上では生じません。単一のジグザグ・フラット・トライアングルのような標準的な修正波も、隠れた波を持つことはできません。


  • 複合修正のポリウェーブ:最も生じやすい場所で、隠れるのは事実上X波です。X波は二つの修正をつなぐ連結の波で(第12回)、複合修正の中の修正のうち最も小さいので、時間単位が大きくなると最も消えやすいです。
  • 1波延長の推進波:4波が隠れることがあります。このとき全体は、cがaと同じか短いジグザグのように見えます。
  • 5波延長の推進波:2波が最も小さく隠れやすいです。このとき全体は、cがaと同じか長いジグザグのように見えます。

同じQ&Aは条件をもう一つ置いています。隠れた波は、パターンが時間単位を3個か5個使うときだけ生じます。波動チャートの高値・安値の点一つが一単位です。この記事では、Q&Aの時間単位3個のジグザグの事例に合わせ、始点を除いたデータ点の数を時間単位の数として数えます。


  • 時間単位3個:既知のパターンに合わなければ、2波か4波が隠れた推進波が最もよい説明です。
  • 時間単位5個:最初の修正が範囲の下側、二つ目の修正が上側の近くにあるのにルールに合わなければ、中央のX波が隠れた複合修正が最もよい説明です。

隠れた波を使うには、上のリストのどの場合に当たるかを先に書き出す必要があります。当たる場合がなければ、カウントを数え直します。


データ点が最小数の2倍以上なら隠れた波を考慮しません


隠れた波を考慮するかは、データ点の数でも決まります。パターンごとに隠れた波なしで完成するのに必要な最小のデータ点数があり、始点を含めて数えます。隠れた波があり得る範囲は「最小数の半分+1」から「2倍−1」までです。


パターン最小データ点隠れた波があり得る範囲
推進波、トライアングル85〜15
ジグザグ、フラット53.5〜9
ダブルジグザグ、ダブルフラット106〜19
トリプルジグザグ、トリプルフラット158.5〜29

  • 最小数未満、半分超:カウントが正しければ隠れた波があります。カウントが間違っている可能性もあります。
  • 最小数以上、2倍未満:可能性は下がりますが残ります。
  • 2倍以上:隠れた波がある可能性はほとんどないので考慮しません。
  • 半分以下:パターンが単純すぎて、モノウェーブかより単純な修正に見えます。

ここでのデータ点は波動チャートに打たれた高値・安値の点で、モノウェーブ数とは別の数字です。


  • 2025年3月の上昇:日足のデータ点4個、時間単位3個です。ジグザグの最小数5個に届かず範囲3.5〜9個の中にあり、時間単位の条件にも合います。
  • 2026年8月の上昇:8月1日の62,275ドルから8月28日の81,479ドルまでです。日足のデータ点54個で推進波の最小数の6.8倍、モノウェーブは43本です。

3月の上昇は、ジグザグのカウントが正しければ隠れた波があり、間違っていればカウントを変える必要があります。8月の上昇は、推進波として数えてルールで不合格になっても、隠れた波で説明しません。モノウェーブ43本を最初から数え直します。


下位の時間足で見えた波も、ルールをクリアして初めてカウントになります


下位の時間足で波が見えたからといって、すぐにカウントに入れてはいけません。


3月の上昇を日足のままジグザグと置くと、c(9,949ドル)はa(2,733ドル)の3.64倍です。ジグザグでCがAの161.8%以上なら、推進波1-2-3の可能性を先に見ます。同じQ&Aの事例もCがAの約400%の時間単位3個の上昇で、解釈が二つ出てきます。上昇がbの安値から始まったという解釈と、安値から始まった推進波で4波が隠れたという解釈です。


この記事では、4時間足で見えた1.57%の下落を4波として入れ、推進波の代替案を測りました。


波終点の価格時間
186,558ドル4時間
285,051ドル34時間
388,673ドル1時間
487,279ドル1時間
595,000ドル1時間

  • 重複:4波の安値87,279ドルが1波の高値86,558ドルより高く、重なりません。
  • 延長:5波の7,721ドルが3波の2.13倍で、5波延長です。
  • 2波の時間:1波の時間の8.5倍です。第6回で見たトレンド型推進波の上限(1波の時間の100〜300%)を超えます。
  • 戻りの比率:5波延長の推進波なら、4波の3波に対する戻りの比率が2波の1波に対する戻りの比率より大きくなければなりません。ここでは4波38.5%、2波55.1%で逆です。
  • 隠れた位置:5波が延長した推進波で隠れる波は2波ですが、ここで隠れた候補は4波です。このQ&Aの事例では4波が隠れたという解釈も出たので、この記事ではこの一点でカウントを捨てず、時間と戻りの比率で判断します。

その後の動きもこの代替案に不利です。延長した5波は完全には戻されません。全体がより大きな修正のc波か、より大きな5波延長推進波の最後の波であれば例外です。


  • 5波:1時間で終わりました。
  • 4波の安値割れ:高値から25時間後、1時間足の終値が4波の安値の下へ下がり、5波をすべて戻しました。
  • その後の安値:3月4日午後3時の81,500ドルで、上昇幅11,175ドルの120.8%を戻しました。

下位の時間足で隠れた4波の候補が実際に見えましたが、このカウントは時間と戻りの比率で不合格になり、その後の動きもこのカウントに不利でした。


推進波に見える修正は三つの手がかりで確認します


五回動いた上昇で3波が最も長ければ、つい推進波と数えたくなります。ニーリーは、あるパターンが別のパターンのように見える現象を見せかけ(Emulation)と呼びます。見せかけが起きると、推進波を修正波と、修正波を推進波と見誤ります。見せかけはポリウェーブ単位の短い動きでのみ生じ、見せかけが見えればたいてい隠れた波があります。トライアングルのように見えて、dと見た波がaの高値を超えるダブル未達型や、推進波のように見えるトリプルジグザグも見せかけの例です。


X波が隠れたダブルフラットは、3波が延長した推進波のように見えます。手がかりは三つです。


  • 手がかり1:2波と見た波が、1波を61.8%以上戻した所で終わります。
  • 手がかり2:2波と4波の間に時間・価格・構造の交代がありません。
  • 手がかり3:延長した3波と見た波が、1波の161.8%以下です。

このような手がかりが見えたら、3波のように見える最も長い波を半分に分け、その中央に隠れた波を仮定します。


BTCの日足の波動チャートで、2025年4月7日から11日までのモノウェーブ5本からなる上昇を推進波の候補として置きました。


波終点時間
14月7日 81,244ドル(始点74,508ドル)7時間
24月9日 74,620ドル35時間
34月9日 83,588ドル20時間
44月10日 78,464ドル19時間
54月11日 84,300ドル29時間

  • 手がかり1:2波が1波6,736ドルの98.3%を戻しました。当てはまります。
  • 手がかり2:2波35時間、4波19時間で時間の交代があります。当てはまりません。
  • 手がかり3:3波8,968ドルが1波の1.33倍です。当てはまります。
  • 推進波のルール:最も長い3波が次に長い1波の1.33倍で、延長のルール(161.8%以上)に届きません。4波の安値78,464ドルは1波の高値81,244ドルの下へ下がって重なります。
  • データ点:隠れた波を入れるとダブルフラットなので、ダブルフラットの基準と比べます。日足のデータ点10個は最小数10個と同じで、可能性は残りますが下がります。

隠れたX代替案・時間条件不成立
隠れたX代替案・時間条件不成立BTC / USDT・4時間足ローソク・日足の波と12時間足の内部・UTC。BTC 2025-04-07〜04-11(UTC)。背景は4時間足、黒の0〜5は日足モノウェーブの推進波代替案です。4波の安値78,464ドルがオレンジの1波の高値81,244ドルの下にあり、通常の推進波の条件に違反します。緑の線は3波内部の12時間足モノウェーブ、W・Xは隠れたXを置いた別の代替案です。この代替案も2008年Q&Aの時間単位の条件(3個か5個)を満たしません。

最も長い3波を12時間足で描き直すと、隠れたX波の候補が実際に見えます。


  • 12時間足の3波:モノウェーブ3本です。4月9日に77,979ドルから76,010ドルまで2.53%の下落があります。
  • 下落の位置:下落の高値が3波の価格範囲の37.5%の高さにあります。半分に分けた中央ではありません。

時間単位の条件は満たせません。日足のデータ点10個は時間単位9個で、3個か5個に合いません。モノウェーブ5本を時間単位5個と見ても、二つ目の修正である4波の安値が範囲(74,508〜84,300ドル)の40.4%の高さで、上側の近くという条件に合いません。


手がかりが二つ合い、推進波のカウントも延長のルールで不合格になります。ただし時間単位の条件を満たせないので、この記事ではこの下落を隠れたX波として入れません。その下落が見える12時間足の波動チャートでダブルフラットかを最初から数え直し、判定はパターンが終わった後の動きで行います。


代替案の一つが無効になる価格でエントリーします


以下は売買計画の一例です。ニーリーのパターン判定ルールとは別物です。隠れた波の代替案を置いたとき、その代替案が無効になる価格をエントリー条件に使う方法を、3月の事例で示します。


  • エントリー条件:日足のデータ点4個(時間単位3個)の上昇で、cがaの1.618倍以上あり、下位の時間足のcの中に戻しのモノウェーブが見えます。2025年3月2日はc/aが3.64倍で、4時間足で88,673ドルから87,279ドルまでの下落が見えました。
  • エントリー:隠れた4波代替案の4波の安値87,279ドルの下で1時間足が引けたら売ります。3月3日UTC午後6時の1時間足が87,133ドルで引けました。
  • 損切り:高値95,000ドルの上です。エントリー価格より9.03%高いです。
  • 無効化:損切り前でも、1時間足が再び87,279ドルの上で引けたら、隠れた4波代替案を再び候補に置いて手仕舞います。この事例では3月4日午後3時の安値81,500ドルまで、そのような引けはありませんでした。その安値はエントリー価格より6.46%低く、その後7日間の高値は94,884ドルで、損切り価格に届きませんでした。

損切りの幅が9.03%と広いので、同じ損失限度ならポジションサイズをその分減らす必要があります。


隠れた波は下位の時間足とルールで二度確認します


隠れた波をカウントに入れる前に、この記事では二つを確認します。


  • 下位の時間足で見えるか:3月と4月の事例はどちらも、12時間足か4時間足で候補の波が見えました。見えなければそのカウントに疑問符を付けておき、パターンが終わった後の動きで判定します。
  • 入れたカウントがルールを満たすか:データ点の数が範囲内か、時間単位が3個か5個か、パターンの種類と位置が前のリストにあるか、入れた後も時間・比率・延長のルールを満たすかを、最初から測り直します。

推進波の中の隠れた波は、パターンが終わる前には証明できません。3月の事例のように下位の時間足で波が見えても、ルールで不合格になればそのカウントは使いません。