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推進波のルール — 3波が長いだけでは推進波になりません
ニーリーの推進波は、必須ルール、161.8%の延長、4波の重なり、交代、2・4波の時間をすべてクリアしなければなりません。BTCの四つの区間で直接測ります。

3波が長いという理由で推進波とは呼びません。延長波、交代、4波の重なりを先に確認します。
第5回では、時間足を変えて段階を決めるのではなく、隣り合う波の価格・時間の関係で同じ段階かを判断しました。この記事では、そうして同じ段階としてまとめた五つの波が推進波(Impulse)かを判定します。グレン・ニーリー(Glenn Neely)は、必須の構成ルールのうち一つでも破ればその動きを推進波とは見ず、修正波か、まとめ方を間違えた波と見ます。
推進波を選ぶときによく使われる基準は二つあります。一つは3波が最も長く強ければ推進波だという基準で、もう一つは、コインはヒゲが長いので4波が1波の高値の下に一瞬入っても終値で見ればよいという基準です。どちらもニーリーのルールとは違います。3波は最も短くさえなければよく、その代わり1・3・5波のどれかが目立って長くなければなりません。4波の重なりは実際の価格帯で判定します。
修正波を推進波として数えると、5波が終わった後に大きな戻りを予想し、修正が続く間もトレンドの売買を続けることになります。この記事では、BTCの四つの区間にルールを一つずつ当てはめ、どこで合格し、どこで不合格になるかを測ります。
区間の五つの脚は、日付を決めて高値・安値で示しました。各脚が構造ラベル:5(推進波)か:3(修正波)かは検査していません。構造ラベルは第4回で説明します。時間は波動チャートに打った点の間隔(マス)で数えます。日足波動チャートは足ごとに点が二つあるので、一日が二マスです。
必須ルールは一つ破るだけで推進波の候補から外れます
3波が最も長くなければならないというルールはありません。1・3・5波を比べるとき、3波に付く条件は最も短くてはいけないということだけです。推進波の必須構成ルールは次のとおりです。
- 五つ:互いにつながったモノウェーブまたはより大きな波がちょうど五つで、1・3・5波が同じ方向です。
- 2波:1波を全部は戻しません。
- 3波:2波より長く、1・3・5波のうち最も短くてはいけません。
- 4波:3波を全部は戻しません。
- 5波:4波の38.2%以上です。4波より短ければ未達型(failure)の5波と呼びます。
図1は、BTCの2021年4月14日から6月22日までの下落候補です。開始価格は64,854ドルです。この記事のさまざまなルールを、この候補に順に当てはめます。
| 波 | 終わりの価格 | 値幅 | 日足波動チャートの時間 |
|---|---|---|---|
| 1波 | 46,930ドル | 17,924ドル | 23マス |
| 2波 | 59,500ドル | 12,570ドル | 29マス |
| 3波 | 30,000ドル | 29,500ドル | 19マス |
| 4波 | 41,330ドル(区間最高 42,452ドル) | 11,330ドル | 53マス |
| 5波 | 28,805ドル | 12,525ドル | 14マス |
五項目をすべて満たします。2波は1波の70.1%を、4波は最も深いところで3波の42.2%を戻し、5波は4波の110.5%です。必須ルールを満たした候補だけが次の段階である延長のルールに進みます。この段階で推進波と確定はしません。

延長波がなければ、3波が長くても推進波ではありません
ニーリーは延長(Extension)を推進波だけにある特徴と見ます。1・3・5波のどれか一つがほかの二つより目立って長くなければならず、その基準が161.8%です。何と比べるかは、本とQ&Aで違います。
- 本(1990):最も長い波が二番目に長い波の161.8%以上でなければなりません。
- 2006年Q&A:最も長い波が最も短い波の161.8%以上であればよいとします。二番目に長い波の161.8%を超える場合は、より典型的な姿です。
- 2010年Q&A:延長波のない1-2-3-4-5は推進波と見ないという点だけを再確認し、分母には触れません。
本を置き換えると明言した改訂はないので、この記事では二つの基準を両方計算します。
- 2021年4〜6月の下落候補:最も長い3波29,500ドルは、二番目に長い1波17,924ドルの164.6%で、最も短い5波の235.5%です。二つの基準をどちらも満たしますが、本の基準ではぎりぎりの値です。
- 2023〜2024年の上昇候補:2023年6月15日の24,800ドルから2024年3月14日の73,777ドルまでです。最も長い5波35,222ドルは二番目の3波の146.3%なので本の基準では不合格になり、最も短い1波の502.9%なので2006年の基準は満たします。
二つ目の候補は、どの波を分母に使うかで判定が変わります。同じチャートで二人の判定が分かれたら、まずどちらの分母を使ったかを確かめます。
トレンド型推進波の4波は実際の価格帯で重なりを見ます
4波のヒゲが1波の高値の下に入ったのを、終値で見て見逃してはいけません。トレンド型推進波では、4波のどの部分も2波の価格帯に入りません。4波が1波・2波と価格帯を共有しないという意味で、このルールは現物データでのみ成り立ちます。上昇候補なら、4波の最安値が1波の終わりの高値より高くなければなりません。終値で判定せよという文は、本にもQ&Aにもありません。
BTCの2021年1月22日28,850ドルから始まった上昇候補がこの違いを示します。
| 基準 | 1波 | 4波 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 実際の価格 | 終わりの高値 34,875ドル(1月25日) | 最安値 32,172ドル(1月31日) | 2,703ドル重なり、トレンド型として不合格 |
| 日足終値 | 区間最高終値 32,945ドル | 区間最低終値 33,093ドル | 148ドル離れ、重なりがないように見える |
この候補は5波が2月21日に58,353ドルまで上がって3波の281.8%となり、延長のルールは満たします。それでも重なりが一つあるだけでトレンド型推進波の候補から外れます。

4波が2波の価格帯に触れたなら、ヒゲを消してトレンド型として維持することはしません。ターミナル・インパルス、修正波、波の分け方の間違いを代案として置き、見直します。ターミナルは2波と4波の価格帯が重なるパターンで、第7回で説明します。
交代は五項目のうち一つにだけ現れても満たされます
交代を「2波が鋭ければ4波は横ばい」とだけ見ると、ほかの項目に現れた交代を見逃します。交代のルール(Rule of Alternation)は同じ段階の隣り合う波が互いに異なるべきだというルールで、推進波では2波と4波を比べます。比較項目は五つあり、少なくとも一つで違いがなければなりません。
- 価格:二つの波が動いた値幅
- 時間:二つの波にかかった時間
- 深さ:前の波を戻した比率。推進波の2波と4波にだけ使います。
- 複雑さ:内部の下位波の数
- 構造:一方はフラット、一方はジグザグのように、パターンの種類が違う場合
図1の候補を測ると、価格では交代がなく、ほかの項目で違いが出ます。
| 項目 | 2波 | 4波 | 違い |
|---|---|---|---|
| 価格 | 12,570ドル | 12,452ドル(3波の終わり〜区間最高) | 4波が2波の99.1%でなし |
| 時間 | 29マス | 53マス | 4波が1.8倍 |
| 深さ | 1波の70.1% | 3波の42.2% | あり |
| 複雑さ | モノウェーブ23個 | モノウェーブ37個 | あり(参考値) |
複雑さは、日足波動チャートでモノウェーブをそのまま数えた値です。中立性のルールを適用していないので、この記事では参考としてだけ見ます。短い時間単位では深さ以外の違いを見つけにくく、深さ一つだけが違うのでは交代を確信しにくいです。五項目を順に測り、いくつで違いが出るかを記録します。
2波と4波は前の波と同じか、それ以上の時間がかかります
価格のルールをすべて満たした候補でも、時間で不合格になることがあります。トレンド型推進波では、2波にかかる時間は1波の100%以上300%以下、4波は3波の100%以上300%以下です。この条件は2021年のQ&Aに出てきて、100%と300%も許容範囲に入ります。1996年のFutures誌の記事にも、まれなターミナルを除けば2・4波の最低時間は1・3波の100%だという文があります。ターミナルはこの条件から外れ、ターミナルの2・4波は前の波より短いことがあります。
この条件を適用すると、不合格になる候補が増えます。
| 候補 | 波動チャート | 2波 ÷ 1波 | 4波 ÷ 3波 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年4〜6月の下落 | 日足 | 126% | 279% | 合格、4波は300%に近い |
| 2023〜2024年の上昇 | 日足 | 211% | 10%(25マス ÷ 243マス) | 不合格 |
| 2021年1月の上昇(重なりの例) | 4時間足 | 56% | 117% | 不合格 |
一つ目の候補を日足の本数で数えると、3波9日、4波27日でちょうど300%です。300%は許容範囲に入るので、境界ぎりぎりで合格です。価格のルールだけを確かめたカウントは、時間比率まで計算してから確定します。
どの波が延長したかで形と均等のルールが変わります
延長は1・3・5波のどこでも起こりえ、どの波が延長したかが推進波全体の形を決めます。図3は、最も長い波がそれぞれ1波、3波、5波であるBTCの候補を上から示します。

- 1波の延長:2波は1波の38.2%を超えて戻せず、5波が三つの中で最も短くなければなりません。図3の上の候補は2波が1波の42.3%を戻し、1波が3波の118.0%なので、本の基準の延長にも足りません。1波延長型には例外があり、3波が1波の終わりを1波の61.8%を超えて通り過ぎなければ、161.8%に少し届かなくてもかまいません(ここでの61.8%は1波の価格の長さの61.8%です。原書の文だけでは基準がはっきりしないため、この記事ではよく引用されるこの解釈を使います)。この候補は3波が1波の終わりを1波の42.4%しか通り過ぎていないのでこの条件は満たしますが、118.0%は161.8%に少し届かない値とは見なしにくいです。週足波動チャートで数えた2波・4波の時間もそれぞれ82%、74%で、2021年Q&Aの時間条件で不合格になります。
- 3波の延長:ニーリーは、延長が現れるなら3波である可能性が最も高いと見ます。中の候補がこの場合です。
- 5波の延長:4波が2波より複雑で長くかからなければならず、3波を戻した比率も2波が1波を戻した比率より大きくなければなりません。図3の下の候補は4波が25マスで2波の120マスより短く、深さも43.3%で2波の98.6%より小さいので、この形と合いません。
延長していない残りの二つの波は、価格か時間で等しくなるか、61.8%のようなフィボナッチ比率をなす傾向があります。これを均等のルール(Rule of Equality)と呼び、価格の比較が時間の比較より重要で、3波延長のときに最もよく当てはまります。中の候補で1波と5波の価格比率は69.9%で、100%にも61.8%にも近くありません。時間は5波14マスが1波23マスの60.9%で、61.8%に近いです。価格の比較のほうが重要なので、この記事ではこの候補の均等関係は時間でだけ弱く現れると記録します。均等のルールは必須構成ルールのように候補をふるい落とすルールではないので、この値で候補を捨てることはしません。
推進波の候補を売買計画に移す前に、ルール違反の価格と時間を先に書きます
以下は売買計画の一例です。ニーリーのパターン判定ルールとは別物です。図1の下落候補で4波が進行中だった時点を想定し、ルールが定める無効価格と時間を計画に移しました。
- 延長の確認:4波の時点で、3波29,500ドルは1波17,924ドルの164.6%です。5波が18,232ドルより長くなると、3波より短く終わっても本の基準の延長比率が161.8%を下回るので、5波の長さを最後まで測り直します。
- 価格の無効化:4波の反発中に高値が1波の終わり46,930ドルに一度でも触れたら、トレンド型推進波のカウントを捨てます。判定には1時間足の高値を使い、終値では判定しません。
- 時間の無効化:3波は日足波動チャートで19マスだったので、4波は300%の57マス以内、つまり2021年6月17日の日足の最初の点までに終わらなければなりません。実際の4波は6月15日に41,330ドルで53マスで終わり、期限まで4マスの余裕がありました。
- エントリーと損切り:4波が終わったと見て5波の下落に沿って売るなら、損切りは4波の高値42,452ドルの上に置きます。この損切りラインは売買の基準で、カウントの無効価格46,930ドルとは別に管理します。
この計画は5波の目標価格を決めません。推進波が終わったかは2-4ラインの割り込みと5波全体の戻りで確認し、その過程は第8回、2-4ラインは第13回で説明します。四つの候補のうち延長、重なり、時間をすべて満たしたのは2021年4〜6月の下落候補一つだけです。その候補も、本の基準の延長比率が164.6%、4波の時間が3波の279%と、二つの条件がどちらも境界付近でした。同じ3波の終わり以降の区間を七本の脚の修正として数える代案もあり(第15回)、その場合6月22日の安値は推進波の終わりではありません。推進波のカウントを立てたら、延長比率と分母、4波の実際の安値と高値、2・4波の時間比率を数字で書き、一つでも合わなければ推進波の代わりに修正波かターミナルを先に検討します。